「肉の格付け」は味に関係があるのか

ここで検討したいのは、このようなA5、A4などの肉の格付けは味に関係があるのかどうかです。よく見かけるのは両極端な2つの答えです。

1つはA5の細かなサシがいっぱい入った霜降りの和牛は、サシ由来の柔らかさと甘みがあり、口溶けが最高というもの。

もう1つはA5という等級は見た目の脂肪の評価であって、美味しさの評価との関連性はないというものです。

これらはどちらも正しい側面があります。

かつての「A5」は本当に美味しかった

そもそも格付けが定められた頃、A5の牛は本当に美味しいものでした。というのも当時のA5発生率は、現在とは比べものにならないほど低いものでした。

かつては血統の良い牛を選び、良質な飼料を与え、牛にストレスを与えないように大事に肥育すること、つまり、生産者の目利きと技術、手間を惜しまない労力があって、初めてA5の牛になることができました。

だからこそ、当時のA5の牛はどれも本当に美味しかったのだと思います。

牧場にいる2頭の和牛
写真=iStock.com/gyro
牛にストレスを与えないように大事に肥育していた(※写真はイメージです)