ビジネスをやる上では教養も大切

――ツブ貝って、あのツブ貝ですか。射場の近くの海で採れると聞きました。

そう。あそこで採れる。ツブ貝って、みんなお寿司屋さんのネタだと思ってるでしょう。でも、それはでっかいやつ。でかいツブ貝は豊洲に送られて、寿司ネタになりますが、小さいのはゆでたやつをパック詰めして、地元のスーパーでめっちゃ安く売られてる。

僕はそれを仕入れて返礼品にしました。ツブ貝ラーメンですよ。煮汁に含まれるコハク酸の量が普通の貝の3倍ぐらいもあるという。ツブ貝に昆布と鰹節とたまり醤油、数種類の調味料でラーメンスープを作ったら死ぬほどうまくて。煮出したあとのツブ貝もまたうまい。大樹町名物になりました。

――堀江さんはロケットからツブ貝まで、森羅万象の説明ができる。しかも、相手に合わせて説明ができる。いったい、どういった種類の勉強をしたのですか?

いわゆる教養じゃないですか(笑)。先日、予防医療普及協会の取材でお医者さんと対談をしました。そのときに、医師の国家試験が話題に出たんです。そうしたら、近頃は医師の国家試験に教養問題が出ると聞きました。例えば、「森鴎外の作品のうち、自殺を扱った作品はどれ?」みたいな問題が出る、と。

――あっ、森鴎外って医者か。『舞姫』じゃないし……。

高瀬舟』です。

――『高瀬舟』ですか。すみません、教養がなくて。

こういうのがまさに教養ですよ。

「のんびり屋さん」、だけどそれがいい

――話を変えます。堀江さんが地方で事業をやると、いろいろな人たちが参加したい、こんなことやりませんかといった話を持ち込んでくる人がいるのでは?

いや、来ないです。意外と来ない。大樹町の人たちってのんびり屋さんなんですよ。今、地方に残っている人って、そもそものんびり屋さんなんです。何かやりたい人は東京なり、アメリカなりに行くから。のんびり屋さんが残ってるわけじゃないですか。

でも大樹町、いいところですよ。僕や稲川(貴大、IST社長)は投資家の候補にここに来てもらうことにしています。そうしてロケットビジネスについて説明するのですが、ZEROの本物とか射場を見学すると、「こいつら本気でやってるな」と実感してもらえる。本物を見ると、みんな納得するんですよ。

インターステラテクノロジズが創業してから、大樹町は「宇宙の町」になった
撮影=プレジデントオンライン編集部
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