給湯器の納期遅延は解消されている

第3の気づきポイントは「今すぐ契約しないと……」と、契約をせかすセールストークです。

「いまなら割引できる」と言われ、言われるがまま承諾し、約30万円の契約をしてしまった。(2023年8月相談受付 契約者:60歳代女性)

契約をせかすのは、点検商法に限らず悪質商法全般でよくみられる手口です。「明日決めたい」と言っても、なんだかんだ“今すぐ”契約しなくてはいけない理由をつけてくるものです。

また、給湯器は2023年夏ごろまで品薄になっていたので、修理に時間がかかるイメージが残っている方がいるかもしれません。ですが、納期遅延はすでに解消されています。「いま交換しないと壊れたときに何カ月も使えなくなる」などと言われても、不安がる必要はありません。

シャワーの水を受ける手
写真=iStock.com/Iuliia Alekseeva
※写真はイメージです

「クーリングオフ」できるケースも多い、早めの対処が肝心

気づくポイントがあるといっても、実際に勧誘されてしまうと断るのは難しいものです。また「あとで契約書を見て初めて大手ガス会社ではないと気づいた」「改めて点検してもらったら、交換の時期ではなく、しかも高額だと言われた」など、あとからだまされたと気づくケースは少なくないです。

契約をしてしまったら、もうどうにもできないのでしょうか。そんなことはありません。この商法はクーリングオフができるケースが非常に多いです。クーリングオフを使えば、契約がなかったことにできます。

どんなときならクーリングオフできるのか、専門職でもない方がすべてのルールを覚えるのは大変です。わからなければ消費生活センターを頼るのがいいでしょう。ただ、ひとつだけ覚えておいてほしいルールがあります。それは「契約書面を受け取った日から8日以内なら可能」と期限があることです。対処は早めにすることを心がけましょう。

とはいえ、8日を過ぎたら絶対にダメかというと、そういうことではありません。条件があえば、消費者契約法など他の制度が使えます。時間の経過とともに解決のための手段は減ってしまいますが、もし過ぎてしまったとしても、消費生活センターに相談する価値はあるでしょう。

また、業者に「クーリングオフはできない」と言われても、それがウソなこともあります。業者の引き留め工作にも注意してください。

「給湯器の点検商法」は高齢者がターゲットにされています。およそ7割の相談が70歳以上です。身近なお年寄りと話す機会があったら、ぜひ伝えてあげてください。知識を身につけ、若造がつくウソなど見破ってしまいましょう。

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