点検が必要なら自分で連絡をすれば済む話

3つの事例すべて、のちに「大手ガス会社」「自治体」「マンションの管理会社」とは無関係だったことが判明しています。このウソは極めて巧妙なので、気づくのはなかなか難しいかもしれません。けれども、ここで大事にしたいポイントは“突然”であることです。

もし、給湯器の点検を依頼したければ、自分で契約先のガス・電力会社や給湯器のメーカー、販売会社に連絡をすればすむ話です。突然の電話や訪問で点検を持ち掛けてきた業者は、警戒した方がよいでしょう。

また、電話で点検を承諾したあとに断りたいと思っても、連絡先がわからないことがあります。約束の日時に業者が来訪してしまった場合には、断りの連絡ができなかったこと、点検は不要であることをインターホン越しにきっぱりと伝え、家の中には入れないようにしましょう。

室内に設置されたカメラ付きインターホン
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
※写真はイメージです

「このままでは…」不安をあおるのは常套手段

第2の気づきポイントは「このままでは……」などといって、不安をあおってくることです。

業者が訪問してきて外から点検をしたところ、「古くて年数がたっているし落ち葉も入っている、危ないです」と言われた。(2023年4月相談受付 契約者:80歳代男性)


給湯器の年数だけを見て、10年が使用年数の限界なので自然発火する。交換しないと危険だと言われて、給湯器から火災が起きている動画を見せられた。(2023年10月相談受付 契約者:80歳代男性)


給湯器の点検を行ったあと、劣化しているのでいずれ壊れる。火災の心配があると言って交換を勧めてきた。(2023年8月相談受付 契約者:90歳代男性)

オレオレ詐欺でもそうですが、相手の財布のひもをゆるませようとするときに不安をあおるのは常套じょうとう手段です。「火事になる」と言われれば恐怖を感じて当たり前です。そもそもお湯が出なくなっては生活が不便なので、「もうすぐ壊れる」と言われただけでも心配になると思います。

ここで大事にしてほしいのは「いま、不安を感じているな」と自分の心の動きを察知することです。冷静な心理状態でないときに高額な契約をするのはおすすめできません。給湯器は種類も値段もさまざまなので、ちゃんと調べて、複数社から見積もりを取って決めるくらいの気持ちでいた方がいいでしょう。