何としても受験させたい親へ反抗しやすいタイミング
小学校に入学すると、「友達と遊びに行ってくる!」との言葉が頼もしく、一緒に遊ぶ子ができて良かった……とホッとしましたよね。
ところが塾に入って生活スタイルが変わり、宿題が終わらない、テストで思うように点数が取れない、となると、
「遊んでいる時間はないでしょ」
「この点数でよく遊びに行く気になれるね!」
と、大人はつい思ってしまいます。
そして、友達と遊びたいという子どもの健全な気持ちを一方的に封じこめるとどうなるか……。まず、親に嘘をついて遊びに行くようになります。
そして塾から「お子さんが来ていません」と電話がかかってきて事態が判明し、
「嘘をつくのは人としてどうなのか!」
と叱責の対象がさらに広がって、子どもはさらに親に何も言わなくなります。
あるいは、
「友達と同じ(公立)中学に行く! 受験やめる!」
と宣言することもあります。
遊びを禁じて勉強を最優先させる親御さんは“何としても受験させたい”という方が多く、子どもはその親の気持ちを逆手にとって反抗するのです。
この「もう受験やめる」宣言、実は“6年秋”というタイミングが多いのです。
週1回、放課後に思い切り遊ぶ日を作る
親からすれば「ここまでがんばってきて、なぜこのタイミングで⁉」「なぜあと少しがんばれない⁉」としか思えないでしょうが、当の子どもにとっては一番ハードな時期。
気力も体力も限界の中、遊びに行きたいというささやかな希望もあっさり潰され、何もかもどうでもよくなってしまうのです。
例にもれず教え子が6年秋に「受験しない宣言」をし、いろいろと気持ちを聞きました。すると、本人の中で実は受験するか・しないかは五分五分。ただ、今の状況がつらく、遊んでいる友達が羨ましくて仕方がない、と。
そこで「週1回、放課後に思い切り遊ぶ日を作るのはどう?」と提案したら笑顔で快諾。冬休みまでは毎週水曜日(学校の授業が早く終わり、塾もない)、暗くなるまで友達とサッカーをしていました。そもそも成長期なのに体を動かさないと、ストレスもたまりますよね。
そしてその子は、中学受験を乗り越えて熱望校に合格し、楽しく通っています。もし週1の放課後デーを作らなかったら、不満とストレスを抱えたまま、「(親)勉強しなさい!」、「(子)受験やめる!」の押し問答が続いていたかもしれません。
遊びも勉強も0か100かではなく、最適なバランスを探ることが大切。そのバランス感覚を養うことも、中学受験の学びのひとつではないでしょうか。