現場の54.3%が「紙の図面」を使っている現実
経産省がまとめている「ものづくり白書」2020年版の中の資料で、日本の製造業では「バーチャル・エンジニアリングが進んでいない」ことが課題として挙げられていました。
設計方法に関する調査結果も出ていました。三次元(3D)で設計しているか、二次元(2D)で設計しているかが集計されたのです。
結果を見れば……。
3Dデータでの設計を行っているのは17.0%。
3Dデータ及び2Dデータでの設計が44.3%。
2Dデータでの設計が26.5%。
設計に関してはデータ化していないが12.2%となっていました。
協力企業への設計指示の方法も調査されていました。
3Dデータが15.7%。
2Dデータが23.8%。
図面が54.3%。
その他が6.2%。
過半数が図面でやり取りしている実態が浮き彫りになったのです。
長年の慣習から抜け出せない厳しさ
図表の通り、2Dデータや図面で設計指示している理由も調査されていました。
「主な設計手法は2D/図面のため」が51.7%。
「取引先の調達部門が見積もりのために図面を必要とするため」が31.0%。
「発注内容と現物を照合する現品票も兼ねているため」が16.7%。
「設計情報をコントロールするため」が15.9%。
「契約上の縛り」が10.9%。
「3Dデータから製造/検査作業の指示ができないため」が10.1%。
「取引先の調達部門が3DCADのライセンスを購入したくないため」が4.7%。
「その他」が5.5%です。
3Dメインで設計している会社は20%に満たず、2Dメインの運用になっている会社が半数を超えています。
3Dに完全移行できない理由も現実的なものが多く、いかに現場のデジタル化が難しいかがわかります。しかし、この部分を変えていかない限り、日本の製造業は世界に遅れをとっていく一方になります。