キャベツを切る時間と気力がない…
全集中で仕事を終わらせ、子どものお迎えにダッシュし、夕飯の買い物をして帰宅した親にとって、キャベツやニンジンを切るところから始める料理は時間的にも気力的にも無理ゲーの域にある。
料理の手間を少しでも省いてくれるカット野菜は、そんな親たちの心強い味方だ。しかしカット野菜には「通常の野菜に比べて栄養が劣る」といった通説があり、100%積極的な気持ちでは利用できない雰囲気がある。
本稿では、その真偽について管理栄養士の成田崇信さんに聞いていく。その過程で、「野菜ジュースをどこまで信用していいか」や「野菜を食べることの本当の意味」についても非常に興味深い話が聞けたので、シェアしておきたい。
カット野菜は本当に栄養面で劣るのか
――カット野菜の栄養価は本当に低いのでしょうか? 時間経過や、切断面からの栄養の漏出などの要因があると聞いたことがあるのですが……。
【成田さん】まず実際に、栄養価の減衰を示すデータがあって、減るか減らないかでいうと、減ります。ただその減る程度があまりにも少ないので、無視していいレベルです。女子栄養大学の先生が発表されているんですけど、水溶性ビタミンで元から減るのが10%、多くて15%ぐらいです。脂溶性ビタミンに関してはもっと減衰が少なく、他の栄養に関してもそうです。
栄養が一番減るのは、「カット」ではなく「茹でる」ときです。茹でて、茹でた水を捨てるという過程で起こります。だから、カット野菜の栄養を気にするならおひたしは食べられないですよ……という話なんですね。
また、野菜は、「栄養がある・ない」だけではなくて、「野菜だから健康にいい」という側面を考えてほしいです(※詳しくは後述)。その意味で、カット野菜は普通の野菜にまったく引けを取りません。
だからカット野菜を避けて食べないより、断然食べたほうがいいです。「カット野菜を買うくらいなら今日は野菜はいらないか」としてしまうほうが損、ということですね。