仕事がつらいと感じる原因が、実は上司や先輩、同僚など社内の人間関係のもつれなどに起因しているケースもある。これを解消するためには、相手と冷静に話し合うことが一番いいが、相手を嫌いであるほど、そう簡単にはいかない。

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人間は、どんなに仲のいい相手でも、自然とケンカにならない距離をとっている。顔を見ただけで虫酸が走るほどの相手であっても、精神的な苦痛を感じない程度の距離感を保つことはできるはず。この距離感を早く見つけるよう心掛けることだ。

私は30代半ばで、生まれ故郷の森林組合に転職した。それまでは会社員だった。そのころに自分の利益しか考えない上司がいた。私がもっとも嫌いなタイプで、こんな上司が出世する職場は、いずれダメになると思っていた。

そんな上司の下で仕事をしたが、つらいと思ったことはなかった。おそらく、相手と適度な距離感を保っていたからだと思う。距離の保ち方は人によって異なるので、答えも一様ではない。気持ちがささくれ立つまでに自分を追い込まないようにしてほしい。

もう1つアドバイスしておきたい。それは、仕事がつらくても、あなたの気持ちにまだほんの少しの余裕があれば、1年間余計なことを考えずに、一生懸命にその仕事を頑張ってみることだ。もしかしたら、それまで気づかなかった新しい自分を発見できるかもしれない。もし「一生懸命に頑張る」ことが1~2カ月しか続かなければ、いまの仕事が向いていないと考えるべきだろう。

自分が追い込まれる前に、自分を客観的に見るために、大切なのは、“気づきのアンテナ”を常に伸ばしておくことだ。このアンテナが伸びていれば、仕事が本当につらくてどうすべきかと悩む前に、対処する方法が必ず見つかるはずだ。

日吉町森林組合理事兼参事 湯浅 勲
旭化成などを経て、故郷の森林組合に転職。広大な人工林の7割を再生させた森林再生請負人。全国の林業関係者が視察に訪れる。
(山下 諭=構成 永野一晃=撮影)
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