困った表情に隠された本音
ただ、相手の気持ちを察するときに、注意も必要です。日本人の謙遜体質が、話を見えにくくしていることがあるからです。
「めちゃくちゃがんばったから、ようやく昇進したぞ!」
「うちの息子、優秀だから東大に合格しましたの!」
と、本当は言いたくても、言わない人が多いですよね。
日本人は、「人に自慢しているように思われたくない」という気持ちの強い人が多い。だから、「ここが認められたい!」「ここをほめてほしい」という話が表に見えにくい傾向があります。
そんなときは、とにかく話をよく聞いてください。そうすると、「大変だ」「苦労している」と、困っているような表現の裏には、ヒントが隠されていることに気づくはずです。
こうした言い回しが出てきたら、「ここがほめてほしい、認めてほしいポイント!」と推測してください。
雑談の正解は「相手がいい気持ちになる」こと
もうひとつ例をあげます。
「朝、子どものお弁当をつくるのが大変。うちの子、好き嫌いが多いから」
これも、よく聞く話です。さて、ここから「教えてほしいこと」を探してみましょう。
まず、相手の言葉の裏にある気持ちを読み取ります。「朝、子どものお弁当をつくるのが大変」と言っているので、ここから「毎朝、起きて必ずお弁当をつくっている私」を認めてほしいという、本音が見えます。もうひとつ。好き嫌いの多い子どものために、献立を工夫しているところをほめられたいという気持ちもあるのではないでしょうか。
そこで、こう質問します。
「ぜひ、毎朝ちゃんと起きられるコツを教えてください」
「毎日の献立をどうやって思いつくのか、教えてください」
どうでしょうか。相手が「よくぞ、聞いてくれました」と、心で思っているイメージが見えてくるんじゃないでしょうか。
雑談は、相手にしゃべってもらうのが鉄則。自分が興味のあることで会話を組み立てても、相手の興味関心とずれていれば、会話は続きません。
でも、相手の話したそうなことに対して、「教えてほしい」という態度を示せば、相手は「待ってました!」とばかりに話してくれるはずです。それで、いいのです。雑談は、目の前の相手がマイクを握り続けて、いい気持ちになることなのですから。
相手が話したいことを、「教えてほしい」という態度で質問する。