対話と雑談の違いは何か
会話を大きく分類すると2つに分かれます。対話と雑談です。
対話は、相談すること。
雑談は、教えてもらうこと。
学生たちに、私はこう教えています。対話は、対等な立場でお互いが意見交換しながら、共通のゴールに近づく相談をすること。会議で売り上げを上げるための議論をすること、相手とWIN-WINの関係を構築する交渉、夫婦で子どもの教育について話し合いをすることは、対話です。
一方、雑談は、決まった目的やゴールがない会話です。雑談で大切なことは、相手に気持ちよくなってもらい、親睦を深めること。だから、雑談では、相手に「教えてもらう」という態度を示すことは、極めて有効です。
人は、誰かに何かを教えることが好きな生き物です。
●教えることで、「感謝されたい」という欲求が満たされます
●教えることで、自分に自信が持てます
●教えることで、頭のよさを示せます
●教えることで、「いいことをした」という自己肯定感が高まります
人に何かを教えるって、気持ちがいい行為なんです。だから、相手を「教える立場」にしてあげる。これも、雑談が上手くいく極意です。
相手が「もっと話したいこと」を見つける
相手が教えたいことを探すコツは、こんな感じです。
たとえば相手が、「このところ出張続きで、さすがにバテ気味です」と、言ったとします。この言葉には、「疲れている」という内容のほかにもうひとつ、「がんばっている私を認めてほしい」という意味が含まれているかもしれません。
このとき、あなたは何を教えてほしいと伝えたら、相手は喜ぶでしょうか。そのためには、こんな感じで聞いてみてください。
「教えてほしいんですが、出張続きなのに、どうしてそんなに元気なんですか。何か健康のためにやってるんですか?」
「教えてほしいんですが、出張先のホテルを選ぶコツってありますか? 私、いつも失敗してるんですよ」
と、「教えてほしいこと」を質問する。このときのコツは、「自分が聞きたいこと」ではなく、「相手がしゃべりたそうなこと」を探すことです。ポイントは、次のような気持ちをくすぐること。
●認められたい
●ほめられたい
●共感、同情されたい
この3つのポイントを「察する力」を磨くことです。
ただし、毎回、相手の気持ちにジャストフィットする質問ができるわけではありません。ひょっとして、外れちゃうことのほうが多いかもしれません。でも、そこでがっかりしないでください。相手の気持ちになって考えた経験は、確実にあなたの雑談レベルを上げています。
「しまった、ちょっと当たりが外れたかも」と思うたびに、あなたの中で、チャリンチャリンと経験値が高まっているのです。経験値の貯金は、自分にとってすごい価値になるはずです。