「この先数年で円高に戻る可能性」がある

ここ数年「悪い円安」という言葉が流行しました。1ドル=150円近辺まで円安が進んだ結果、輸入物価が跳ね上がってしまい、ガソリン代が高騰し、小麦や食用油などの食料品がつぎつぎと値上げラッシュを引き起こしました。

難しい説明は省きますが、今後は日銀とアメリカの金融当局の政策が変わるため、この先数年で逆に円高に戻る可能性が高いと専門家は考えています。すると投資家にとっては困ったことが起きます。新NISAでオルカンやS&P500を買った分が、円高で目減りしてしまうのです。

仮に何年か後に1ドル=120円まで為替レートが円高に戻ったとします。そしてちょうど今、1ドル=150円のときに100万円のアメリカ株の投資信託を買ってしまったとします。1ドル=120円になったとたんにその価値は80万円に目減りしてしまいます。これでは大損です。

そう考えると為替リスクは確かに心配ですよね。もちろん為替の未来は本当のところは「読めない」というのが実態ですので、10年先、20年先は1ドル=80円かもしれませんし、1ドル=250円になっているかもしれません。

ドル円為替の画面
写真=iStock.com/Motortion
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超長期投資の場合は「為替リスクは心配しないほうがいい」

でも結論としてはそれを心配する必要はないのです。理由は今回新NISAで投資をする目的が超長期投資だからです。覚えておくべき数字は先ほど申し上げた「9年で倍になる」という話です。言い換えると18年で4倍、27年で8倍、36年で16倍を狙ってオルカンないしはS&P500に投資をするのです。

その時に1ドル=120円だったとしてもたとえば27年間で8倍になったはずの儲けが8割の6.4倍に減るだけで、得をしていることに変わりはありません。では最悪、老後になってみて1ドル=75円という過去なかったほどの超円高が起きていたとしたらどうでしょう? 8倍に増やしたつもりが円建てだと4倍にしかなっていないので残念ではありますが、それでも資産は銀行に預金するよりもはるかに増えていることになります。

つまり老後に備えた超長期投資の場合は「為替リスクは心配しないでとったほうがいい」というのが私のアドバイスです。