「オルカン」か「S&P500」を選ぶ人が大半

話題の理由3:投資が2択でわかりやすい

さてここからが新NISAがここまで広がっている最大の要因です。その3つめの要因とは「投資すべき金融商品が2択でわかりやすい」という事象があります。

預金から投資と言われて、大半の読者は最初は何に投資をしていいかわからないはずです。株を買うとしてどの会社の株がいいのかとか、今、日経平均がバブル期の高値を更新したといって、いつまでその勢いが続くのかとか、大切な預金を株式投資に向けようとすると知識がない方はとにかく心配になるはずです。

ところが実際に証券会社に連絡をして投資アドバイザーの話を聞くと、この悩みは意外と簡単に解決します。「他の方はどうしているんですか?」と訊ねると、大半の人はたった2つの商品のうちのどちらかを選んでいることを教えてもらえるのです。

黄色とブルーの二つの扉
写真=iStock.com/mrgao
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それが「オルカン」と「S&P500」という商品です。どちらも簡単に言えばたくさんの外国株に分散して投資をする金融商品です。実は株式というものはひとつひとつはリスクを抱えているのですが、たくさんの株式に分散投資をするとそのリスクが大きく減ることが知られています。

オールカントリーには日本株と中国株が入っている

1990年代以降に現代金融理論が積み重ねられた結果、一番リスクが少なくなる投資方法は市場全体のインデックスに投資をすることだということが証明されたのです。世界全体のインデックスに分散投資をするのが「オルカン」すなわちオールカントリー型の投資信託で、アメリカの株式市場のインデックスに分散投資をするのがS&P500連動型の投資信託です。

そしてここが重要なことなのですが、そういった事実が広く知られるようになった結果、新NISAを始めた方の大半が「オルカン」か「S&P500」の投資信託を買っているのです。

ちなみに一番人気のオールカントリーは一番リスクが小さい一方で、経済評論家の視点で見ると懸念点があります。それは日本株と中国株が一定比率で入っていることです。世界全体の縮図なのでそうなるのですが、日本株は今調子がいいと言っても1989年から見れば1倍にしか増えていません。

さらに心配なのが中国株です。中国の各都市で起きている不動産バブル崩壊のせいで、中国株のインデックスは昨年来大きく下げていますし、これから数年はさらに不況が続きそうです。

そういった要素を織り込んだオールカントリーよりも、過去一貫して100年以上上昇を続けている、アメリカ経済の発展に集中したほうがいいという考え方があって、そういった方々が二番人気のS&P500連動型投資信託を買っているのです。