「初恋モノ」「覇権争い」「社会風刺劇」
ホームドラマではあるが、観る人によっては重きを置く点が異なるかもしれない。
俵家に近づく雑誌記者・可憐(吉岡里帆)と晴は恋に落ちる。忍びは肉食も飲酒も恋愛もご法度とされる中、ふたりは惹かれ合い、やることはやるので、晴の「初恋モノ(初体験モノ)」という要素もある。
また、俵家は服部半蔵の末裔だが、敵対する風魔の一族、さらには鬼の門を守る忍びたちも登場。予想以上に多いので、忍びの世界の血で血を洗う「覇権争い」として観る人もいる。
そして、政治家が私利私欲で忍びを悪用したり、忍びがカルト団体を装って若者を集めたり、数に慢心して覇者気取りになったり。このへんの微妙に薄気味悪い要素は、平成から令和に続く日本の悪政や社会現象から取り込まれているようで、「社会風刺劇」の要素に興味をもった人もいるのではないか。
season1はいわば序章。権力の構図が変わり、忍びに価値観の変革が起きる気配も漂う。晴や凪が忍びの存在意義を自問する日がくるかもしれず。その先の妄想が膨らむ「忍びの家」、適材適所の脇役陣の細かい暗躍も含めて凝視したい作品だ。