ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系・金曜22時~)が中高年の話題をさらっている。ライターの吉田潮さんは「宮藤官九郎の脚本が素晴らしい。昭和と現代をうまくデフォルメしてコミカルに描きつつ、両時代への批判的な目線も忘れていない」という――。
CX系ドラマ「心がポキッとね」制作発表に登場した俳優の阿部サダヲ
写真=時事通信フォト
CX系ドラマ「心がポキッとね」制作発表に登場した俳優の阿部サダヲ(=2015年3月31日、東京都江東区)

「ふてほど」にハマる人、ハマらない人の違い

おかしいやら懐かしいやら恥ずかしいやらで、中高年の心をわしづかみにしている「不適切にもほどがある!」。

1986年の空気を体感した人は、劇中のワードに失笑して懐かしむ。知らない人は即スマホで検索。一部のマニアは「その漫画は1985年に連載が終わっている!」など、史実に忠実を求める「忠実屋」と化している。あ、忠実屋ってのも、もうないのよね。

気のせいか、今期のTBSドラマはスマホ片手が欠かせない作品が多い(「Eye Love You」のチェ・ジョンヒョプの心の声がわからず、Google翻訳であたふたしているのは私だけか)。検索上昇ワードで話題作り、戦略は成功だ。

テレビ局の宣伝部が喜ぶ4文字作品「ふてほど」の、個人的にこういうところが「好き&すごい」をまとめてみる。

1986年に中2だった私は第1話を観て、威圧的かつ女性蔑視の体育教師や竹刀で生徒をこづく教師、苦い部活生活などを思い出し、『シェイプアップ乱』というところでぐっと身を乗り出した(ド貧乏な左京君がタイプだった)。

ただ、まったくハマらない人もいる。おそらく「ふてほど」は昭和の男子臭が強めの公立共学ベースなので、あのノリについていけない人や女子校育ちの女性はピンとこないのかもしれない。平成生まれ・平成育ちには、昨年ヒットした「ブラッシュアップライフ」(日テレ)のほうがしっくりくるのかもしれない。