最初に自分の希望を具体的に伝えてもいい

たとえば、建設会社に「こういう建築が作りたいから御社に入りたい、こういう建物を将来普及させるための経験として、御社に入りたい」とアピールして通った人がいます。

最初に自分の希望を具体的に伝えることで、就活を成功させるという方法もあるのです。

人間は結局、自分の欲望や願望を叶えるために生きるエゴイストだと思います。もちろん「他の人とこんなことがしたい」とか「人を助けたい」という願望もありますが、しかしそれだって、「社会の中で居場所がほしい」とか「自分が生きていて誰かの支えになっているという自信がほしい」とか、そういう「自分のための欲望」であることも多いです。

そしてそのために、人は努力をします。主体性の源泉とは結局、自分の欲望を叶えたいという個人の欲望なのです。

でも、エゴイストであることと、「会社のために何かしたい」というモチベーションを持つこととは、必ずしも矛盾しません。

むしろ、会社が大きくなることが自分のやりたいことにつながったり、自分の目的と合致したりするのであれば、「自分のために」と同じように「会社のために」、主体的に行動することができます。

「会社」と「自分」の距離が近いので、「うちの会社」と捉えて行動することにもなるからです。そうなると個人にも会社にもメリットがありますよね。

もっと言えば、この「エゴ」「自分のために」の範囲を意識的に広げることができる人こそが、何に対しても主体的に行動できる人だと言えます。

主体的に行動できる人の思考

ひとつ具体的に考えてみましょう。もし仮に同僚の誰かが困っているときに、その人を助けるか、助けないかという二択があるとします。

ここで「助けない」と選択する人は、「自分には関係ないから」「助けても自分にとってプラスにならないから」と考えていることでしょう。

他方で「助ける」という選択をする人は、ただ利他的なだけでなく「ここで助けることによって、自分にもあとからプラスがあるかもしれない」と考えることができる人だと言えるのです。

手と手を取り合おうとするイメージ
写真=iStock.com/Pornyot Palilai
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もしかしたら、自分が困ったときに、後から助けてもらえるかもしれない。同僚が困っているポイントを知っておけば、自分も同じところで困ったときに解決策がわかるかもしれない。同僚の困りごとを解決することが会社にとってプラスになって、ひいては自分のプラスになるはずだ。

そんな風に、「自分のために」の解釈の幅を広く持てるからこそ、主体的に行動することができるのです。先ほど、「責任範囲が広い人=主体性のある人」と定義しましたが、そこの裏側にはこういう背景があったのです。

まとめると、主体的になれる人というのは、「自分事=責任」の範囲を広げることができる人だ、と言うことができるのです。