自民党派閥の裏金事件をめぐり、衆議院・政治倫理審査会が15年ぶりに開かれた。裏金事件はこれからどうなるのか。ジャーナリストの鮫島浩さんは「政倫審は偽証罪に問われないので、安倍派幹部の答弁は信用できない。ウソが許されない証人喚問を実施できなかったことから、真相解明が進む可能性はほぼ消滅した」という――。
衆院政治倫理審査会を終え、退室する岸田文雄首相(手前)=2024年2月29日、国会内
写真=時事通信フォト
衆院政治倫理審査会を終え、退室する岸田文雄首相(手前)=2024年2月29日、国会内

安倍派幹部たちの答弁は食い違いばかり

自民党の裏金事件をめぐり、疑惑を抱かれた政治家が自ら釈明する場である衆院の政治倫理審査会(政倫審)が15年ぶりに開かれた。岸田文雄首相が誰からも求められていないのに名乗り出て、歴代首相として初めて出席したことで注目を集めたが、岸田首相が安倍派の裏金作りの経緯を知る由もなく、予算委員会と同じように表面をなぞる答弁を繰り返すだけだった。肝心の安倍派幹部たちの答弁は食い違い、疑惑は深まるばかりだ。

特に焦点となったのは、安倍晋三元首相が派閥会長として復帰した後、2022年4月に政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分について長年続いてきたキックバックの廃止を提案した後の経緯だった。事務総長だった西村康稔氏ら幹部が協議して一度はキックバック廃止を決定し、派閥所属議員に通知したものの、安倍氏が同年7月の銃撃事件で急逝した後、キックバックは一転して継続されたのだ。