リニア妨害を続ける川勝知事が、国の委員会の座長に地震学者の起用を求めた。ジャーナリストの小林一哉さんは「川勝知事は次は『地震予知』でリニア妨害を狙っているのだろう。だが、地震が予知できないことは科学的に明らかになっている」という――。

国の委員会座長候補に地震学者を挙げた川勝知事

2024年2月20日に開会した静岡県議会の冒頭で、川勝平太知事は来年度予算案を踏まえた所信表明演説を行った。

モニタリング委員会座長に尾池氏の名前を挙げた川勝知事(静岡県庁)
筆者撮影
モニタリング委員会座長に尾池氏の名前を挙げた川勝知事(静岡県庁)

その中で、リニア問題について、静岡県庁を訪れた国土交通省の村田茂樹・鉄道局長による新たなモニタリング委員会に触れた。

国の有識者会議が水資源、生態系保全に関する議論を終え、次の段階として、JR東海が取り組む対策を継続的にモニタリングするために、国は委員会を立ち上げるという。

そこで、川勝知事は「モニタリングに際しては、静岡県内の工区に限定するのではなく、他の工区との関わりを把握することも重要。モニタリングの対象については柔軟に考えていただきたい」と求めたのだ。

14日の記者会見で、モニタリング委員会の役割について、川勝知事が「国家的事業だから、リニア新幹線全体のルートに関わること、議論はそこ(水資源、生態系保全)にとどまらないだろう」と発言したことと重なる。

その際、「(委員会の座長は)国家的見地からモニタリングできる人が望ましい。より器の大きい人が求められる」として、尾池和夫・元京都大学総長(現・静岡県公立大学法人理事長兼静岡県立大学学長)ら8人の著名人の名前を挙げた。

地震対応もリニアに求めようとしている

他の7人と違い、尾池氏の名前を挙げた理由を見れば、「他の工区との関わりを把握することも重要。モニタリングの対象については柔軟に考えていただきたい」と、国に求めた内容とぴたりと当てはまる。

「2038年南海トラフ地震」説を唱える尾池氏(静岡県広報誌「ふじのくに」から
「2038年南海トラフ地震」説を唱える尾池氏(写真=静岡県広報誌「ふじのくに」から)

尾池氏を挙げた理由について、川勝知事は「南アルプスは年間4ミリ隆起している。しかも四万十帯(地質)というのは海底の隆起できたものであり、地震微動のようなものが起こっている。こうしたことも大事じゃないか。そうすると、例えば、地震学の最高権威である尾池和夫さんではないか」と説明したのだ。

つまり、南アルプスの水資源、生態系保全だけでなく、モニタリングの対象に地震対応も入れろ、と言っているのだ。