同じく中国語教室を運営する「ハオ中国語アカデミー」の南博氏も、業績の順調ぶりを強調した。
「08年秋のリーマンショックで駐在者の引き揚げが相次いだため、中国語の需要が減ったのですが、その後は着実に伸びています」
南氏によると、10年12月の受講生は約1800人で、前年同月の1200人から大きく増えている。目指すのはやはり「日常会話程度の基礎語学力」で、中国出張や中国赴任に伴って中国語が必要になった30~40代の管理職クラスのビジネスマンが多い。
業種としてはメーカーが中心だが、不動産系も増えつつある。
「大手、中小を問わず、中国企業と合弁会社をつくるケースが増えてきていることも背景にあると思います」(南氏)
個別企業による最近の中国語関連の動きとしては、日清食品ホールディングスが昨夏、国内実務経験を積んだうえで、一定の語学力がある若手社員を対象に、米国、中国などの海外現地法人で2年間、研修させる人事制度を今春から導入すると発表して話題を呼んだ。要求される「語学力」の核となるのは英語と中国語だ。TOEICで730点以上か中国語検定試験「HSK」で6級を取得した入社5年目までの社員が対象となる。
伊藤忠商事も、中国の繊維大手、杉杉集団や食品大手の頂新グループの持ち株会社に資本参加するなどして、このところ「中国事業強化」を明確に打ち出している。英語に加えてもう1カ国語を習得する教育制度を新たに導入しているが、参加社員の大部分は中国語だ。
住友商事の広報室は「英語以外に重要な外国語」について尋ねる取材に対し、次のような回答を寄せた。
「ビジネスによって重要となる言語は異なるが、現場のニーズが高い言語は中国語とロシア語。特に中国にはあらゆる部隊が進出しており、今後も中国語要員の養成は重要と考える」
同社の語学研修制度については、英語以外では、中国語、ロシア語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語がある。原則として2年間、現地に派遣して、最初の1年間を語学学校への通学期間とし、残りの1年間を現場実習と位置づけている。「今後は、アジア圏、とりわけタイとベトナムへの研修を増やす予定だ」(広報室)という。