中国語検定の受験者数は10年で2倍以上に増えており、国内の中国語学校数も、2007年ごろから急増し、現在は16年前の水準の5倍以上になった。
中国語研修会社「アイ・エス・エス」の増田泰啓氏は次のように説明する。
「楽天やファーストリテイリングの英語公用語化の影響もあって、有用な外国語として中国語の需要が増えています。当社への問い合わせは、2010年の同時期と比較して1.5~2倍にまでなっています」
研修を請け負っている企業、組織については、商社、自動車メーカー、監査法人、弁護士法人などがあるという。監査や法律関連でも関心度が高まっている背景には、日中間での取引が活発化するにつれて、各種規制、制度の違いの詳細な理解が必要になるうえに、権利関係なども複雑に絡み合ってくることがあげられる。また、来日する裕福な中国人投資家に対応するための語学力が求められるようになっているという。
ただ、企業が担当社員に要求する中国語のレベルは、英語と比べて、さほど高くはないのだという。
「まずは『サバイバルできる程度のレベル』といえます。現地での買い物や食事など、基本的な身の回りのことができるようになってもらいたいようです」
同社の研修期間は、30~70時間の集中講座が中心で、赴任前の特訓研修もある。例えば、「30時間」コースだと、6時間を5日間、「70時間」のコースだと7時間を10日間、受講する計算になる。受講者は30代後半から40代のマネジャークラスが目立つという。
中国語の今後のニーズについて、増田氏はこう続けた。
「今後はビジネスで使える高いレベルの中国語を求める企業が増えると予想しています」
これまで主に法人向けの研修を手がけてきた同社は、11年4月から上級者向けの通学型「中国語ビジネスコミュニケーションコース」を開講する予定だ。