でも、たとえ弱くても、何もできなくても、どうか自分を責めないでください。「今、自分一人でその苦しみを解決することは難しい」という事実を受け入れ、ほかの人を頼ってみてください。

それが、勇気をもって変えられるものを変え、苦しみの解決に取り組むことであり、気がかりやイライラを和らげることにつながります。

幸せの基準を変えていく

ここでもう一つお伝えしたいのが、幸せの基準を変え、現実に合わせて希望を変えることができれば、希望と現実の開きを小さくし、苦しみを和らげることが可能になるということです。

地位や名誉、お金、才能などがもたらしてくれる幸せ、他者との比較によって感じる幸せ、世間で「幸せ」だとされているものを自分自身の幸せだと考え、「もっと地位や名誉がほしい」「もっとお金がほしい」「もっと才能がほしい」といった希望を抱いている人は、おそらくたくさんいるでしょう。

しかし、それらを失えば、幸せも失われます。

また、自分より強く力のある他者はいくらでもいるため、比較によって感じる幸せを求めても、なかなか満足することができません。その結果、希望と現実の開きがどんどん大きくなり、苦しみが生まれてしまいます。

ただ、幸せの基準を変えれば、希望の抱き方も変わります。もし「心穏やかに生きること」「自分にとって大切な存在と支え合って生きること」「人のために、自分なりにできることをすること」などを幸せだと感じることができれば、無理なく、現実に合わせた希望を抱くことができるようになるでしょう。

手をつなぐ
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今の自分にできる何かを見つける

「バリバリ働いて、人より多くお金を稼ぐこと」を幸せだと感じていた人が、現代医療では治すことのできない病気にかかり、働くことが難しくなったら、一度は苦しみ、絶望するかもしれません。

それまで抱いていた希望と、自分が直面した現実の開きを埋めることができず、それまで幸せだと思っていたものを手にすることも、二度とできないからです。これはまさに、解決できない苦しみだといえます。

でも、その人が「働き、お金を稼ぐことができなくなった自分」を認め、「今の自分にできる何かを見つけること」を望み、実現できれば、どうでしょう。

希望と現実の開きが埋まり、苦しみは和らぎ、それまでとは違う形の幸せを感じることができるようになるはずです。

このように、幸せの基準を変え、現実に合わせた希望を抱くことも、勇気をもって変えられるものを変え、苦しみの解決に取り組む一つの方法だといえるでしょう。