解決できない問題があっても、自分を責めなくていい

それでは、人生において選択がいかに大切か、解決できる苦しみと解決できない苦しみをどう見分けるか、といったことについて、考えていきましょう。まず、次の問いについて考えてみてください。

・今、何が一番気がかりですか?
その気がかりは、どうすれば解決しますか?
・イライラしていることはありますか?
そのイライラは、何らかの手段で解決できますか?
・今のまま生きていったとき、10年後のあなたは幸せですか?
どうすれば、10年後も幸せだと思えるでしょうか?

次に、気がかりなことやイライラしていることの原因を詳しく見てみましょう。たとえば、お子さんの成績が気がかりだとしたら。その気がかりは、「子どもに、いい成績をとってほしい」という希望と、現実との開きから生まれる苦しみであるととらえることができます。

あるいは、年齢を重ね、体力が落ちていることにイライラしているとしたら。そのイライラは、「いつまでも元気でいたいのに」という希望と、現実との開きから生まれる苦しみであるととらえることができます。

このように、気がかりやイライラなどネガティブな感情の多くは、実は希望と現実の開きによる苦しみから生まれているのですが、自分が苦しんでいるということに気づいていない人はたくさんいます。

しかし、自分が抱えている苦しみに気づくことができれば、少しずつやるべきことが見えてきます。

勇気を持って、自分の弱さを受け入れる

それでは、ニーバーの祈りに従い、気がかりやイライラの原因となっている苦しみを、「変えられるもの(解決できる苦しみ)」「変えられないもの(解決できない苦しみ)」の2つに分けてみましょう。

その苦しみは、自分自身の努力や他者からの助けによって解決できるものでしょうか?
それとも、誰にも解決できないものでしょうか?

もし解決できるものであれば、そこに力を注ぎましょう。自分の手に余るようなことであれば、周りの人や医療機関、公共サービスなど、ほかの人の力を借りましょう。

医師が患者の手を握っている
写真=iStock.com/David Gyung
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苦しみの中には、たしかに自分の努力次第ではあるけれど、解決するのが非常に難しいものもあります。たとえば、アルコールやギャンブルなどに依存している人の多くは、自分一人の意思と努力で依存を断ち切ることが難しいかもしれません。

また、「強い自分でありたい」と思っている人、「今まで、何でも自分一人でやってきた」という人は、弱い自分、何もできない自分を認められず、他者に任せたりゆだねたりすることができない傾向があります。