小さな段差も高齢者には致命的になり得る

1位の発表の前に番外編として「これがあると寿命が短くなる」ものについてもご紹介したいと思います。

番外編 カーペットや畳など床のちいさな段差
ダイニングルーム
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令和3年厚生労働省「人口動態調査」によると65歳以上の死因のうち、高齢者の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は「交通事故」の死亡者数の約4倍にもなっています(図表6)。さらに「転倒・転落・墜落」の死亡者数について詳しく見てみると「階段及びステップからの転落及びその上での転倒」よりも「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上の転倒」による死亡が85%と大半を占めていることが分かります(同じく厚生労働省「人口動態調査」による)。このことから、カーペットやたたみなどのちいさな段差につまづき転倒・死亡する高齢者が多いことがわかります。

【図表】65歳以上の死因別死亡数
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また死亡まで至らなくても高齢者が要介護状態になる理由の一つに「転倒による骨折」が挙げられます。「認知症」「脳血管疾患(脳卒中)」「高齢による衰弱」に次いで4番目に多いのです(図表7)。そして転倒によりどこを骨折したのかを見てみると「脚・足」の骨折が約半数となっており、歩くことができなくなると、寝たきりなど介護状態になりやすいことがわかります(図表8)。

【図表】高齢者の介護が必要となった主な原因
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【図表】(住宅発生)骨折事故/骨折部位の内訳
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見えにくい部屋の段差は目立たせて転倒を防ぐ

このことからもわかるように、いつまでも健康で自立した生活を送るためには、転倒を防ぐことがなによりも大切です。

そのためには、

1.部屋の整理をして余計なものを床に置かない
2.コード類は壁をはわせて固定する
3.床が濡れていたらすべらないように拭く
4.浴槽や玄関・廊下や階段には手すりを付ける
5.見えにくい小さな床の段差などは、照明で明るくしたり、または色を付けて危ない所を目立たせる
6.床にはカーペットなどつまずく物はなるべく敷かない。

などの工夫をして転倒への対策をしましょう。