子供が長い時間考えていても、ぐっと我慢して

「思考力」をつけるためには、子どもの話を「聞く」ことも大事です。何の話であれ、子どもが自分で発信しようとしていることをちゃんと聞いてあげてください。

子どもが何かを長いこと考えていたり、全然違うことをしていたりすると、大人は先回りしていろいろと言いたくなってしまいます。そこをあえて我慢して、子どもが自分で考え、言葉にするのを待つのです。

もちろん、「さっきは、こういうことだったけど、今度はどうかな?」「これはこういう意味かな?」と適宜、助け舟を出すのがいい場合もあります。子ども一人では考えが進まずに困っている様子なら、言葉がけをしてあげてください。

ただし、子どもが何か考えようとしたり、発言しようとしたりしているうちに先に答えを言ったり、「つまりこういうことでしょ」とまとめてはいけません。これはかなり忍耐力のいることです。でも、こうすることで、子どもの自分で考える力や自己解決能力を高めていくことができます。

思考力は中学受験においても、人生においても非常に重要な力です。近年の中学受験問題は思考力を問うものが多いですが、それは考えることをいとわず、自ら解決に向かえる力のある子を学校も求めているということです。

個別授業にはない集団授業のよさとは

なお、思考力は、受け身の授業や知識の習得だけでは身につきません。自分で考える練習が必要です。といっても、自分一人でウンウン考えていても先に進まないことは多いですし、幅も広がりません。中学入試では、自分とは違う境遇の人の視点で考えることができるような視野の広さも問われることがあります。さまざまな視点を取り入れることで、思考力も深まります。

小川晶子『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)
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SAPIXでは、討論式授業によって思考力を伸ばすようにしています。先生が問題提起をし、子どもたちが考える。子どもたちは自分の持つ知識をもとに、いろいろな案を出します。他の子の意見が刺激になり、「なるほど、それならこういう案もある」というように考えが進みやすいのが集団授業のいいところです。

子どもたちが自分で考え、友だちの意見も聞きながら思考を深めていくのは、とても楽しい経験です。もっと知りたい、考えたいという気持ちになります。

家庭でも、子どもの話を聞いて適宜考えるヒントを出せれば、思考力を伸ばすことができます。大事なのは、できる限り答えを教えないことです。親も一緒に考えて意見を言うのであれば、それはいい刺激になり、思考を深めることになるでしょう。

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