勉強が足りなくても「頑張れ」と言ってはいけない
たとえば、次の二つの声がけを比べてみてください。
①「なんでここ間違えたの? 見直しなさいっていつも言っているでしょ」
②「ここをミスしたのは悔しかったね。こういう工夫をしたらどうかな?」
ちょっとした差のようですが、受け取り方は全然違います。
子どもにとって「自分の頑張りを親がわかってくれている」のは大きな安心感につながります。嬉しいときも、辛いときも、自分が頑張っていることをわかってくれる人がいると感じている子は、パフォーマンスが上がります。
子どもが勉強しているように見えないとき、その実情としては、大きく分けると三つのパターンがあります。
①親の要求水準が高すぎる
②短時間で理解できているので、勉強時間が短く感じられる
③実際に勉強が不足している
どのケースにあてはまるのかは、親自身では判断がつかないことが多いため、勉強が足りないように感じたら、塾の先生などに様子を聞いてみるとよいでしょう。
注意すべきは、①のパターンです。突きつめすぎると、子どもに必要以上のプレッシャーを与える可能性が高いのです。
「いいえ、単純にやる気がないんです」という声も聞こえてきそうですね。③の場合で親から言っても反発されそうなときは、「もっと頑張れ」は塾の先生など第三者に言ってもらってください。親に言われて素直に聞けなくても、先生に言われると驚くほど素直に聞くことがよくあります。
やる気をもたせるなら「目の前のこと」を褒める
一般的には4年生から6年生の終わりまでという長い期間、受験に向けて頑張ることになります。好きな単元で集中して勉強をしているときがあったり、実際に中学校を見て「行きたい!」と思ったり、時折、やる気がアップすることはあっても、それをずっと継続させるのは困難です。頑張っても成果が出ないように感じればやる気も下がります。勉強以外のことに関心が向いているときもあります。
子どものやる気を継続させるには、目の前のことを評価することがとても大事です。
算数のテストで80点を取れた。前回70点だったから10点もアップした。そんなときは「できるようになったね!」と言ってあげてください。「できるようになった」と感じられるのは嬉しいものです。ちゃんと認めてもらえることがやる気につながります。
時々、せっかくテストの点数は上がったのに、平均点や偏差値を見て、
「今回のテストは簡単だったんじゃないか? ……やっぱりほら、平均点が高くなっている」
「偏差値は低くなっているから、もう少し頑張らないとダメだ」
などと、子どもに話す親御さんもいるようです。統計的にはその通りなのかもしれませんが、そんなところを突き詰めてできていないことを明らかにしても何のいいこともありません。
周りと比べてどうか、偏差値としてどうか、という指標も必要ですが、その子の頑張りを純粋に認めて評価してあげてほしいと思います。