上品なイメージを与える言葉遣いは何か。中国文献学者の山口謠司さんは「趣味や嗜み、稽古事の聞き方ひとつで、教養があるかないかを相手に曝してしまうことになる。伝統文化を嗜む人たちと話をするときは、『茶道をおやりになりますか?』ではなく、『茶道を嗜まれますか?』と尋ねるようにしたほうがいい。『嗜む』という言葉は、『趣味として楽しむ』という意味で、単に『楽しむ』『趣味にする』というより、奥深くまで心得ているようなニュアンスがある」という――。
※本稿は、山口謠司『もう恥をかきたくない人のための正しい日本語』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
明るく嬉しいトーンで正しい言葉を
上司から食事に誘ってもらったとき
× ご一緒します
↓
○ お供させていただきます
× ご一緒します
↓
○ お供させていただきます
上司から、ランチに誘われたとき、みなさんはどう答えますか? もちろん、一緒に行かないというのであれば「今日は、先約がございますので、また機会を改めてお願い申し上げます」と断ることもあるでしょう。
でも、せっかく誘っていただいたので一緒に行くという場合はどうでしょうか?
「ご一緒します」と言う人がいます。これは、非常に親しい関係の上司の場合では正しい使い方です。「ちょっと2、3分待っててください」と言えるくらいの親しい関係です。
これに対して、自分の仕事をすぐに止めて、席を立ち上がって上司の後を追わなければならないほどの緊張感がある関係であれば、「お供させていただきます」「ご一緒いたします」「ご一緒させてください」と言うのが丁寧な言い方です。
「いたします」「させてください」と「します」の違いは、自分を中心に考えるか、相手に合わせるかということです。その場に応じて使い分けるといいと思いますが、自分がエスコートする場合には「ご一緒いたします」というのが適当です。
ところで、ここでは言い方や言い回しを解説していますが、ランチに誘われたときには、明るくうれしいという気持ちを声のトーンなどで表すと、誘った相手も喜ぶに違いありません。