なぜ政治家はカネに貪欲なのか

政治とカネの問題で永田町が揺れている。国民の政治不信がますます高まりそうだが、これを奇貨として今こそ抜本的な改革を断行すべきである。「しんぶん赤旗」は2022年11月6日号で、自民党の岸田派など主要5派閥が、政治資金収支報告書にパーティー券収入を過少記載していたとスクープした。

資金調達のために催される派閥パーティーでは、議員は販売したパーティー券の代金全額を派閥に納める。しかし、一部の自民党議員はノルマを超えた代金を派閥に上納せず、自分の懐に入れて裏金化しているというのだ。

スクープを受けて、神戸学院大学法学部教授の上脇博之氏が、刑事告発を行った。東京地検特捜部は、23年12月に安倍派や二階派の事務所に家宅捜索を行い、24年1月7日には安倍派の池田佳隆衆議院議員と秘書を政治資金規正法違反で逮捕するなど、捜査を活発化させている。

解決策を提案する前に、なぜ政治とカネの問題が起きるのかを押さえておきたい。根底にあるのは、選挙にカネがかかることである。

日本の一万円と握手
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私は1995年の東京都知事選挙に出馬して、人海戦術の重要性を思い知った。ポスター貼り、ビラ配り、有権者への電話、選挙カーの手配。支援団体と強く結びついている公明党や共産党の候補者は人を容易に動員できるが、そうでない候補者はカネで人馬を雇うしかない。私の場合、6億円が、この選挙で消えてしまった。

実は自民党も人の動員に苦労している。商店主には自民党支持者が多いものの、店頭にポスターを貼ることを許しても、自分でポスターを貼りに回るほど熱心ではない。

自民党に世襲議員が目立つのは、親がつくった後援会を引き継ぐことで人とカネの問題をクリアできるからだ。世襲ではなく、純粋な気持ちで政治家になろうと選挙に出る候補者は、自ら金策しなければ選挙で勝てない。派閥の領袖りょうしゅうも、候補者にカネを分配できないようでは、ボスの座から引きずり降ろされる。かくして、政治家、特に自民党議員はカネ集めに必死になるのである。

政治家が金策に走ると、カネを出せる企業や団体との癒着が始まる。