薬を飲んで調子が悪くなったらやめていい
調子が悪いときに医者に行くと、必ずと言っていいほど薬を処方されます。血圧を測って高いとわかれば、では薬を飲んでみましょうかと気軽に処方されるでしょう。
さて、帰って薬を飲んでみたらなんだか具合が悪くなったとしたら、どうしますか。私なら、その薬はやめます。あるいは、この程度までなら大丈夫というところまで薬の量を減らします。
ほとんどの医者は、規定量の薬を規則正しく飲みなさいと言うだけでしょう。けれども、簡単にそう言う医者には、欠けている視点があると私は考えています。
患者は、その薬を一生涯飲み続けることになるかもしれないのです。もちろん、薬代もずっと払い続けなくてはなりません。高齢者の多くの場合、自己負担が1〜2割ですので、8〜9割は公費で賄っていることになります。
エビデンスのある薬はあまりない
アメリカの場合、日本のような国民皆保険制度がありませんので、事情は少し異なります。保険会社が無条件で保険金を払うというわけではありませんので、治療薬にどれほどの効果が見込めるか、はっきりしたエビデンスが必要になるのです。
たとえばその薬を飲み続けたことで5年以内の死亡率がどれだけ下がったか、5年以内に脳卒中を発症する割合がどのくらい減少したか、5年以内に心筋梗塞を起こす確率がどのくらい少なくなったかなど、きちんとしたデータを示さなくては、保険会社は薬代を払いません。ですから、ほとんどすべての薬にはっきりとしたエビデンスが明らかにされています。
ところが日本の場合、制度の違いからきちんとした根拠を示す必要がないため、エビデンスのある薬というのはそれほどありません。
医者に「血圧の薬を飲めば、今後脳卒中になる確率が減ります」「心筋梗塞になる危険が少なくなります」と言われたとしても、はっきりしたことはわからないのが実情です。正直に伝えるなら、そうなるかもしれないし、ならないかもしれないとしか言えません。