※本稿は、和田秀樹『ゆるく生きれば楽になる』(河出新書)の一部を再編集したものです。
60歳を過ぎたら「糖質制限ダイエット」はやめたほうがいい
年をとると、栄養が過多であることより、足りない害のほうが大きくなります。そのため、60歳を過ぎたら無理なダイエットは禁物です。若いうちなら多少栄養素が偏ってもなんとかなりますが、年をとると体に悪影響を及ぼすリスクのほうが高くなってしまいます。
たとえば、「糖質制限ダイエット」を試している人がいるかもしれませんが、糖質は脳のエネルギー源なので、高齢者の場合、脳にダメージを与えることになりかねません。
ブドウ糖が足りなければ頭がぼんやりしてきますし、塩分を懸命に控えている人は、低ナトリウム血症から痙攣や意識障害を引き起こすリスクもあります。意識障害はとても危険な症状で、運転していれば突然暴走してしまうかもしれないという不安もあります。
微量元素の不足も、年をとればとるほど、害がはっきりと出やすくなります。亜鉛が不足すると味覚障害を起こすことがあります。
若い頃は、多少不足したとしても味がしなくなるまではいかないものですが、年齢が上がるとかなり影響が出るようになってしまいます。亜鉛不足で味がしなくなったという人は、結構多いものなのです。
食品添加物よりも目の前の健康
このような栄養をまんべんなく摂取するために、できれば自分の体調に合ったものを自分で作るのが理想です。けれども、疲れたときややる気が出ないとき、なんとなく食べるのも億劫だからと作る気がしなくなって食事を抜くのは好ましくありません。
たまにはコンビニのご飯を食べるのもいいではありませんか。その中でも、できるだけいろいろなおかずがあるものを選ぶようにするなど、無理のない範囲で選択しましょう。
コンビニ弁当などに入っている食品添加物の害を気にする人もいますが、それはあったとしても10年後や20年後、30年後に影響するかもしれないくらいのものです。
もう、我々の年代になったら、気にすることなどないでしょう。それよりも、目の前の健康のほうがはるかに大事な年齢なのです。