「トクホ」登場で「太陽のマテ茶」は失速した

初年度1000万ケース超えという大ヒットを記録した「太陽のマテ茶」でしたが、2年目は700万ケース、3年目は500万ケースと数字を落とし、やがて日本コカ・コーラの製品ラインナップからは姿を消すことになります。

これには明確な背景がありました。日本のマーケットに「トクホ」(特定保健用食品)が登場したのです。カラダを締める、南米古来の健康茶、といったメッセージを発した「太陽のマテ茶」でしたが、その市場に「トクホ」の製品が次々に出てきました。

トクホは開発するのに大変なお金がかかります。1億円以上かかるケースもある。それは、人を使って治験をしなければならないからです。飲んだ人、飲んでいない人で臨床試験を行い、実際に差があるという証拠を提出しなければいけないのです。

トクホの取得には、時間もかかります。申請してから取得まで、当時は2年ほどかかりました。そこまでの開発を行い、費用も時間もかけ、「脂肪の吸収を抑える」等をメッセージしたのが、トクホでした。

同じメッセージを掲げていた「太陽のマテ茶」の失速は、ある程度仕方のないことだったと思っています。

コンビニのドリンク棚
写真=iStock.com/Kwangmoozaa
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飲料の世界で当たるのは「1000に3つ」

新製品の開発という点で、P&Gとコカ・コーラの違いも理解しました。P&Gは、製品づくりにテクノロジーがかなり関わってきます。物理的な構造を、機械を使って高速で作れるかも問われてきます。研究開発のテクニカル面が問われたのです。

もちろんコカ・コーラでもテクノロジーは求められます、ただ、扱っているものが飲み物なので、アイデアさえあれば、比較的作りやすい、ともいえます。

だから、飲料の世界では「千三つ」という言葉があるのです。当たるのは1000に3つ、の意です。新しい製品を開発し、世の中に送り出しやすいけれど、残すことが難しい。世の中はどんどん変化していくのです。「太陽のマテ茶」の場合も、製品が悪いというより、トクホという、どうにもあらがえないカテゴリーが出てきてしまったことが主要因です。