ほとんどが「27ドル」の小口寄付だった
フォードさんへのGoFundMeの寄付は、現在もまだ続いている。TODAYによると、27年間の無欠勤を称え、多くの人々が27ドルを寄付しているという。
米著名コメディアンも寄付の輪に加わった。デイリー・メール紙によると、俳優でコメディアンのデヴィッド・スペード氏が5000ドル(約74万円)を寄付。フォードさんとのInstagram上でのダイレクトメッセージのやりとりが公開されている。
「これからも頑張って」とエールを送ったスペード氏に、フォードさんは「(寄付のおかげで)1日くらいは休めるかもしれません」と反応。これに対しスペード氏が「勤続30年になってから休みを取っては?」とおどけると、一本取られたフォードさんは「なんてことだ、店のマネージャーみたいなことを言いますね???」と動揺。「でも、あらためてありがとう」と付け加えた。
バーガー店を引退するつもりはない
フォードさんの物語は、揺るぎない労働倫理、そしてコミュニティによる支援の力の象徴となった。日々の生活の困難に直面していたにもかかわらず、フォードさんはテレビ出演を除いて一日も欠勤していない。献身的な勤労態度は、彼の情熱の賜物といえる。
多額の寄付を得たいま、傷む身体を休めるため、退職を選択することもできた。だが、フォードさんは仕事を続けることを選び、そして仕事に喜びを見出している。米アントレプレナー誌は、人生を変えるほどの収入とメディアでの人気にもかかわらず、フォードはすぐに引退するつもりはないと報じた。
SNSで動画が拡散される以前、フォードさんは人生のどん底にいた。離婚、両親の死、そして成長して自身の元を離れていった娘たち……。NPRによると、バーガーキングでの仕事を終えたフォードさんは毎日、近所を何時間もドライブし、自分の人生を振り返ったという。もっと違ったやり方があったのではないか、と夜ごと思いあぐねた。
経済的な余裕が生まれ、人生を見つめ直せるようになったいま、フォードさんが空港のバーガーキング店で働き続ける意志は、以前にも増して強固なものとなった。「あそこは僕の家族でもあるんだ。やっていて楽しいし、面白い」「もしもそうでなければ、きっと引退していると思う」
次の目標は「自分のレストラン」をもつこと
ドライブ好きなフォードさんは、新居から職場への1時間のクルマ通勤も苦にならないという。寄付を受け、再婚相手を国外からアメリカへ呼び寄せる夢も叶ったいま、次の目標はいつの日か自分のレストランを出すことだ。
フォードさんは今日も、ラスベガスの空港の同じ店舗で、同僚たちとキッチンに立つ。ほぼ無休で空港の店舗へと通う彼の出勤記録が次に途絶える日は、夢だった自身のレストランをオープンする日かもしれない。