民衆が見たいのは、チャールズではなくダイアナ
チャールズとダイアナはひとまわりも年齢が離れ、趣味もまるで合わない。しかも、どこへ行っても、美しく華やかなダイアナにばかりスポットライトが当たるのをチャールズは苦々しく思っていた、と多くの英国王室関連の報道や書物には記述されている。
『ザ・クラウン』では、英連邦であるオーストラリアに夫婦で外遊に訪れた際、単独で現れたチャールズに民衆は「ダイアナはどこだ?」とブーイングを浴びせ、さらには“デカ耳”とはやしたてたシーンがあるが、実際、チャールズにとっては、スコットランドの監獄・ゴードンストウン校での悪夢が蘇ったかもしれない。
「英国のプリンスである自分は、なぜいつもこんな目に遭うのか?」とチャールズの自己肯定感は、ダイアナによって粉々に打ち砕かれる。彼女にそんな意図はないにしても、惨めな気持ちになったとしてもおかしくない。
“みそっかす”のダイアナが欲しいのは、夫の愛
一方、ダイアナはダイアナで、不仲の両親のもとに生まれた、いわばみそっかすのような存在だったと言われる。キリスト教徒として姉や弟はしかるべき場所で洗礼を受けたのに、彼女だけ適当な場所でおざなりな洗礼をされたそうだ。
だから、彼女もチャールズと同様に、親の愛情に飢えていた。両親が離婚して母親が家を出てから、継母に育てられる。AFP通信は、「関係はかなり悪かった」と伝えている。大学にも行かず、幼稚園の保育士のアシスタントをしていた頃にチャールズとの縁談が持ち上がった。
そのころのダイアナはシャイで内気だったが、結婚後天性の美貌が花開き、世界中の注目を浴びる。一方で夫とカミラの仲を常に疑い、そのストレスから業病ともいえる摂食障害に苦しめられることに。一時期、骨と皮ばかりに痩せたダイアナの写真が今も残る。
「親にしろ、夫にしろ、どうして彼らは私を愛さないの?」という心の叫びが写真から聞こえてくるようだ。
夫婦お互いに「なぜ自分を愛さない? なぜ自分をかえりみない?」と叫び合っているようでは、早晩破綻するのは当然だろう。