告発したA子さんも「勇気をもらいました」

日本の芸能界には昔から「枕営業」なる言葉がある。地位や権力のある人間と寝ることで、いい役を得るという隠語で、いまだにそうしたことが続いているといわれている。

何人かの女性が「枕営業」の実態について告白したことはあったが、大きな問題になったことは、私が知る限り残念ながらなかった。

今回の松本人志のケースは、文春によれば、松本の取り巻き連中が、松本のために女性たちを飲み会に誘って、彼に“献上”していたというものだ。

ふた昔前なら、お笑い芸人の御乱行程度で終わっていたかもしれないが、時代がそうしたことに敏感になり、女性側も思い切って口を開くようになってきた。

文春で、松本との一夜を告白したA子さんも、「ジャニーズ問題では、二〇一〇年代半ばまで多くの方が性被害を受けていました。そして被害者が一斉に立ち上がり、大きな山が動いた。それを見て勇気をもらいました」と語っている。

文春は1月4日・11日号1月18日号でこの疑惑を取り上げているが、A子さんのケースで考えてみたい。

法律事務所の弁護士立ち会いのもとでA子さんはこう話しだした。

「この国は狂ってる。なんで嫁を何人も持てないんや」

「長い間、私は彼の仕打ちに苦しめられてきました。また彼に投げかけられた言葉は、今でも私の心に恐怖として残り続けています。後日知ったことですが、私の友人で、芸能人の卵だった女性も同じ被害を受けていた。芸能界の権力者である彼の怒りを買うと、どんな仕事上の報復を受けるか分からず、これまで口を閉ざしてきた子が数多く存在するのです」

2015年冬、A子さんのもとに、仕事関係の飲み会で知り合ったお笑いコンビ「スピードワゴン」の小沢一敬からLINEが届いたという。

〈○(日付)の夜ってどんな感じかしら?〉

さらに飲み会の当日、小沢からこんなLINEが送られてきた。

〈今日の場所なんだけど、先輩が写真とかに撮られるとまずいので六本木のグランドハイアットのスイートで部屋飲みって感じになりましたが大丈夫ですか?〉

その夜集まった女性はA子さんを含めて3人だったという。小沢の傍でせわしなくオードブルを並べていたのは、放送作家のXだったそうだ。

夜7時40分に松本が到着。

最初、松本は女性たちには一瞥もくれず、企画の愚痴をこぼしていたという。

しかし、酒をあおると松本は次第に饒舌になっていった。

「日本の法律は間違ってると思うねん。日本は俺みたいな金も名誉もある男が女をたくさん作れるようにならんとあかん。この国は狂ってる。なんで嫁を何人も持てないんや」