幸福になるためには何が必要なのか。脳科学者の西剛志さんは「『これをやりたい』と強く思いすぎると逆に実現は遠ざかる。人間の脳には視野狭窄を生む“注目バイアス”という特性がある」という――。

※本稿は、西剛志『1万人の才能を引き出してきた脳科学者が教える「やりたいこと」の見つけ方』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

ホテルの一室で穏やかに過ごすビジネスマン
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結婚願望が強すぎると婚活が長引く理由

「やりたいことを見つけたい思いが強すぎる」

やりたいこと探しにおける一番の落とし穴は、これかもしれません。

「やりたいことを見つけたい」という思いが強すぎると、やりたいことは見つかりにくい。

なんと、皮肉なことと思われるかもしれませんが、これは、理想のパートナー探しにも似ている部分があります。

世の中には、結婚相手がなかなか見つからず、婚活が長期化する人達がいます。私もそのような方を調べたことがありますが、その理由の1つが、これまで自分が経験してきた狭い思考の枠の中で「理想の相手はこういう人」と決めていた傾向がありました。

たとえば、「甘えられる女性で、食事を一緒に楽しめて、服のセンスのある人がいい」

「安定な上場企業、もしくは転勤のない公務員の男性で、一緒に趣味を楽しめる男性がいい」

自分がこれまでの経験の中で感じてきた思う理想像ばかりに「集中しすぎる」と、それ以外の相手の魅力を脳は見ようとしなくなってしまいます。もしかしたら、自分が予想もしていない「必要なことを的確に言ってくれる相手」や「自分の知らない世界を体験させてくれる相手」に本当は魅力があって、もっと幸せな人生を送れるかもしれないのに……。

これには、脳科学でいう「注目バイアス」が影響しています。(※1)

※1:Pool, E,.et.al.,“Attentional bias for positive emotetional stimuli: A meta-analytic investigation” Psychol. Bull. 2016, Vol.142(1),p.79- 106