乳酸菌効果で牛・豚の腸内環境が改善

しかも、笹サイレージが飼料に使われると、畜産試験場のデータ通りの効果が表れた。

「乳酸菌効果で、牛や豚の腸内環境が改善しました。特に子牛が下痢をしなくなり、肥育がよくなったのです。肉質も、うまみ成分であるオレイン酸が増え、臭みのないおいしい肉になりました。2022年の、ロシアのウクライナ侵攻による輸入飼料価格高騰でも笹サイレージの普及が進みましたね。酪農においても、乳牛が餌を残さず食べるようになったり、乳量が増えたりしています」

笹サイレージを食べる牛
写真提供=大和フロンティア
笹サイレージを食べる牛

豚にも同様の効果が出た。なかでも都城の「観音池ポーク」は、笹サイレージの導入以降、2年連続で宮崎県のグランドチャンピオンに輝き、2022年には農林水産大臣賞を受賞した。さらに肉質の向上だけでなく、腸内環境の改善で栄養素の吸収率が上がり、1頭当たりの飼料が330kg→280kgに減少。会社全体で年間4000万円ものコスト削減につながった。

笹サイレージの導入以降、2年連続で宮崎県のグランドチャンピオンに輝いた観音寺ポーク(撮影=水野さちえ)

飼料だけではなく、農作物の肥料としての効果も絶大だった。竹の繊維質の多さは、伐採時はやっかいだが、笹サイレージになると水はけのよさに寄与するという。空気の層ができて土壌も柔らかくなる。そこに農作物がしっかり根を張ることで栄養を吸収し、収穫量や糖度が向上した。

「さらに、サツマイモの基腐病もとぐされびょうに対する予防効果も確認されました。地元企業や大学と連携した実証実験が進んでいます」