いい声のカギは「軟口蓋」
舌で口の中をたどると、歯の裏側に硬い部分があります。ここをハードパレット(硬口蓋)といいます。ソフトパレット(軟口蓋)は、そこからさらに喉の奥に行き、舌が届かないやわらかい部分にあります。
音色はソフトパレット(軟口蓋)でつくられます。
振動体である声帯が音を発声させ、ソフトパレットの形によって音が共鳴する箇所が変わり、声の質になっていきます。ソフトパレットが声の音色をつくるうえで鍵となるのです。
言葉の子音は口の前方で発声されますが、「あ、い、う、え、お」の母音が形成されるのがソフトパレットの形によるものです。
よくヴォイストレーニングで「喉を開いて」と言われることがありますが、これは「ソフトパレットを開いて」という意味です。
長時間話したり歌ったりすると喉が痛くなるのは、ソフトパレットがつぶれているから。専門的に説明すると、ソフトパレットが下がることによって、結果的に声帯が痛むのです。
背骨をゆるめると声が変わる
ソフトパレットを開くには、体をゆるめてリラックスすることが大切です。体をゆるめると、声が響きやすくなるのです。
私たちの体は普通に生活しているだけでも緊張します。
心の癖を手放すことが大切ですが、同時に体からもアプローチしていきます。
そのポイントとなるのが「背骨」です。
緊張すると首や肩も硬くなりますが、背骨もギュッと硬くなります。
現代人は常にストレスにさらされ、緊張している時間が長いので、その結果、体も硬くなり、声の自由を失ったともいえるのです。
硬く緊張している状態を長く続けると、背骨に老廃物がたまり、より硬直し、背骨の可動域が狭くなっていってしまうのです。
現代人はただでさえパソコンやスマホで前かがみの姿勢が多く、背骨が動いていません。楽器は振動することで音が鳴り響くのに、1個1個の背骨が振動しないから、声が響かないのです。
背骨の可動域とソフトパレットはつながっています。背骨をゆるめて体を解放することが、ソフトパレットをゆるめることにもつながります。