ビジネスを学んだ3作品
僕は子どものころから漫画オタクで、受験でもビジネスでも大事なことはほぼすべて漫画から学んできました。今も毎月100冊は目を通しています。その中から「これでビジネスを学んだ」といえる漫画を3冊挙げたいと思います。
1冊目は前述の『SHOGUN』、2冊目は『大東京トイボックス』です。
ゲーム会社を舞台にして、マスユーザーに受ける新たなコンセプトを作るには「魂がふるえること」が重要であることを教えてくれます。
また、ここには挙げていませんが『新吼えろペン(著:島本和彦)』という作品があります。前作となる『燃えよペン』『吼えろペン』の続編であり、主人公は漫画家です。そのライバルである人気漫画家で、作品の中で伏線を張りまくり、風呂敷を広げまくってそれを回収しないというキャラクターが出てきます。読者からすれば、最後には伏線を回収して責任をとってほしいものですが、この主人公は「最後まで楽しませたんだからそれでいい。風呂敷を畳むことは漫画家の義務じゃないじゃん」という考え方なんです。
僕はこれを読んで、なるほど確かに、楽しませることが目的であり整合性を取ることが漫画の目的じゃないな、と理解しました。したがってビジネスでも、正攻法を取ること自体が目的ではないから、いかに変化球の思考を身につけるかが大事だと思うようになりました。そうして初めて普通の人が考えつかないようなアイデアを実践できるんじゃないかと。変化球の思考は、常識や固定観念を取っ払ううえでとても大事だと思っています。
大衆にウケるラーメンをつくる、それが経営ってもの
3冊目は『ラーメン発見伝』です。ラーメン店を経営する主人公は、真面目においしいものをつくっていれば流行るという考え方。でも、主人公の師匠兼ライバル、この作品のファンの間で“ラーメンハゲ”と呼ばれている人物は、彼の考え方を真っ向から否定します。
特に印象に残っているのは、ラーメンハゲが大衆について語った「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」というセリフです。流行るのは店主が真面目につくったおいしい料理じゃなくて、見た目やメニュー名にインパクトがあってマスメディアで騒がれたりする料理だと。だから自分は、9割はつくりたくもない大衆にウケるラーメンをつくって残り1割で味を追求しているんだと。そして「それが経営ってもんだろ」と言うのです。