ちゃんとした組織にしたら持ち味がなくなる
【鳥越】数字で管理しないで済んでいるのは、我々が小さな組織だということもあるでしょう。それでも売上高が100億円、200億円、300億円と節目を超えるたびに「そろそろちゃんとした組織構造に」と言われてきました。今年もきっと言われる(笑)。だけど、今はまだ数字を使わなくても、主要メンバーのひとりひとりの顔が見えて、何をやっているのかも分かる規模ですので、行ける限りはこれで行きたいと思っています。
思うんですが、数字はあくまでその人の仕事の一面ですよね。直接仕事ぶりを知っているなら、なくてはならないものではない。人事評価も「基準を設けて評価シートでやらねばならない」わけではなくて、ひとりひとりの顔が見えない、もしかしたら見たくないから「共通の基準を使う」のではないでしょうか。
話を広げると、全ての決裁・判断も同じではないだろうかと思っています。
例えば稟議書は稟議を上げる本人の顔が見えない、その人が現場で何をどうしているのがわからない、だから背景を含めて詳細に記述させ、一般的な、共通の基準を使って判断する、というか、せざるを得ない。ということではないかと思います
思い込みかもしれないな、と思いつつ、数値目標やよくあるリポートベースで成り立つ組織運営に切り替えたら、相模屋の持ち味はきっと消える、と考えています。
数字はあとから付いてくる
――相模屋は非公開企業とはいえ、金融機関から業績目標の数字を求められることもありませんか。
【鳥越】ええ、目標数字を求められるんですけど、だいたいのところでやっていますね。「売上高のイメージはだいたいこのくらいです」と、お話ししています。それに対して突っ込まれることもありません。うちは地銀さんとの取引が中心ですが、長いお付き合いと実績から、「この会社は、たぶんやるだろうな」と認めていただけているのかなと。
決算説明では数字よりも、戦略的なところに食いついていただいていて、「こういう戦略でいくならば、数字も付いてくるでしょう」と、見ていただいているんじゃないかなと思っています。