できることが少なくなっても大きな楽しみは育っていく

ところが、ときどき訪ねて話し相手になっていた娘さんが驚いたそうです。

久し振りに会ったら元気いっぱいで見るからに若返っていたのです。会話も弾んで昔話が次々に飛び出します。理由はすぐにわかりました。98歳の母親のサイドテーブルにお化粧の道具が一式そろっていたからです。どうりで若返って見えたはずです。

「いまはお化粧するのがいちばん楽しみだね。もう歳だからきつい化粧は似合わないけど、鏡を見ながら『もうちょっと濃くしてみるかな』『紅はこの色がいいな』と考えながら試しているとほんとに楽しいね」

和田秀樹『100歳の超え方』(廣済堂出版)
和田秀樹『100歳の超え方』(廣済堂出版)

「楽しみができてよかったね」と娘さんは頷いたそうです。

「そうだよ、もうお化粧ぐらいしかできることはないけど、身体が動かなくてもこんなに楽しめるんだからよかったよ」と母親も答えます。

たぶん、鏡を覗き込むたびに、自分が若かった頃の楽しい思い出が蘇るのでしょう。私はそういう100歳なんて素敵だなと思います。

できることがどんなに少なくなっても、100歳まで生きる人はその中に楽しみを見つけ、自分で育てていくことができる人なのでしょう。

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