タクシー運転手の不足は構造的

タクシー運転手の不足にはいくつか理由がある。

まず、コロナ不況時の大幅な離職によるものがあるが、これは今後3年以内に都市部以外でも充足する(コロナ前に戻る)と言われている。

、タクシー運転手の減少は実はコロナ以前からのもので、2021年までの10年間で年平均1.3万人も持続的に減っている計算だ。これはタクシー運転手の高齢化による引退が主因で、構造的なものだ。

最近は若手の運転手も増えているというが、タクシー運転手の報酬の大部分は歩合給であり、昇給も退職金もほとんどなく、若手運転手の離職率は高い。結果、年金受給の高齢者に依存せざるをえないという構造的な要因がある。

こうした運転手の構造的な不足を前提とすれば、以下のような条件が必要となる。

第1に、ライドシェアの運営者として、タクシー会社と同一の条件下で、多様な事業者が参入できることだ。ライドシェアは発展途上にあり、異業種からの参入で、多様な競争を通じた新しいシェアエコノミーを拡大させる余地が大きい。

第2に、ライドシェアのドライバーには、他の職種と同様に、雇用契約以外の、副業を前提とした多様な働き方をすることである。

第3に、利用者が既存タクシーとライドシェアを自由に使い分けできることである。日本のタクシー運転手の質は、高齢化を別にすれば一般的に高く、政治献金で保護されなくてもライドシェアに淘汰とうたされることはあり得ないだろう。

確かにタクシーの規制緩和の必要性は大きいが、それだけでタクシー運転手を安定的に供給できるという楽観的な見通しは甘すぎる。タクシー会社との対等な競争条件の下でのライドシェアの導入は、利用者の選択肢の拡大であり、これまで日本の行政でいつも軽視されてきたものだ。

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