12月11日、大谷翔平選手は大リーグのドジャースと10年7億ドル(約1015億円)で契約を結んだと発表した。大リーグ公式サイトは「スポーツ史上最高額の契約」と伝えた。元メジャーリーガーで野球解説者の五十嵐亮太さんは「大谷選手には、プレーの内容や集客力の高さだけではないチームへの影響力がある。そこをドジャースは高く評価したのではないか」という――。(聞き手・構成=フリーライター・山川徹)(第1回/全2回)
「大谷翔平ドジャース移籍」を的中できたワケ
――大谷選手の移籍先をめぐる報道は過熱していましたが、五十嵐さんは早い段階から「ドジャースに移籍するのではないか」と語っていましたね。
【五十嵐】エンゼルス時代の6年間、大谷選手は一度もポストシーズンを戦えなかった。選手なら誰もが、勝ちたい、優勝したい、という思いを抱いています。そんな大谷選手の願いを叶えられる球団が11年連続でポストシーズンに進出しているドジャースだった。
加えて大谷選手ほどのトッププレーヤーを獲得するには莫大な資金が必要になる。また温暖で住み慣れた西海岸の球団がいいのではないか。そうした条件にドジャースが当てはまった……。ここまでが、一般的に言われている大谷選手がドジャース移籍を決断した理由です。
ぼくはそれ以外にも大谷選手がドジャースを選ぶポイントがあると考えていました。それがアスリートとしての彼の姿勢です。
花巻東高校卒業後、日本ハムファイターズに入団した大谷選手は、球団の勧めで二刀流にチャレンジしました。当時、評論家やプロ野球のOBからも否定的な意見が少なくなかった。ほとんどの人が、投手か野手のどちらかに専念すべきだと考えていました。プロ野球の長い歴史のなかでも前代未聞の挑戦で、投打両方で一流の成績を残せるとは思いもしていなかった。でも、ご存じのように、大谷選手は投打ともに日本のトップレベルに成長した。