社外取締役は「目標達成」にちょうどいい
政府も「女性版骨太の方針」で、女性活躍・男女共同参画社会の実現を目指してきましたが、今年6月に公表した「女性版骨太の方針」(2023)で、プライム市場の上場企業を対象にした数値目標を策定。2025年をメドに、女性役員1名以上を選出し、2030年までに、役員の女性比率を30%以上にすると定めました。
女性の社外取締役を増やせば、「女性役員の登用」「社外取締役比率のアップ」という2つの要求を満たせます。
日本での女性の登用は海外と比べ、お粗末な状況です。各国の要人が一堂に会し、各種の会合を行う「ダボス会議」で知られる、スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」は今年6月、世界146カ国のジェンダー・ギャップ指数(GGI)を発表しました。
政治参画、経済参画、教育、健康の4つの分野での男女比を示した指標です。日本の総合スコアは125位で、韓国の105位、中国の107位よりも低い。
政治参画が著しく劣っており138位、経済参画は123位と下位に甘んじていて、女性の経済参画を促すには、女性の管理職、女性の役員を増やすことが必須です。
機関投資家や株主に大きな影響力を持つ議決権行使会社の中で、女性取締役がいない企業に対して、代表取締役の選任案への反対を推奨する動きが広がっています。上場企業側にとっては、とにかく女性取締役を置きたい。
その点、社外取締役が格好のポジションと言えます。女性の管理職が少ない日本では、当然、女性の取締役も少ない。女性比率のかさ上げに大いに貢献できるのが女性の社外取締役なのです。
女性取締役は13.9%で、30%にはほど遠い
企業統治(コーポレートガバナンス)のコンサルティングや助言を行うプロネッドが今年8月に発表した「2023年 社外取締役・社外監査役白書」によると、東証プライム上場企業1829社の取締役のうち、社内の女性取締役はわずか1.6%。社外の女性取締役12.3%を加えても、女性の取締役は13.9%に過ぎません。
女性の社外取締役の主な経歴は弁護士等が26.8%、大学教授等が15%、公認会計士・税理士が12.9%、政府機関出身が11.4%で、上場会社の役員経験者は6.7%と、低い数字に留まっています。
女性の社外取締役不足が、女性のアナウンサー、タレント、アスリートなどへと向かわせている要因です。「株主が納得する女性の社外取締役が欲しい」「見栄えのする女性の社外取締役はいないか」といった声が上場企業から上がっています。