不動産大手が相次いで経営危機を迎えるなど、ここにきて中国経済の変調が顕著になってきた。経済評論家の渡邉哲也さんは「『白髪三千丈』の国が、実際に成長が鈍っていることを示す数値を出してきたということは、実態はさらに悪いのではないかと考えたほうがいい」という――。

※本稿は、渡邉哲也『世界と日本経済大予測2024-25』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

巨額の負債を抱える恒大集団が開発した中国・南京市の高層住宅群(2023年8月18日)
写真=CFoto/時事通信フォト
巨額の負債を抱える恒大集団が開発した中国・南京市の高層住宅群(2023年8月18日)

時間の問題だった不動産大手の破綻

中国の不動産バブルという「時限爆弾」がついに火を噴いた。

2023年8月17日、中国の不動産大手である恒大集団(エバーグランデグループ)は、ニューヨークで破産を申請、マンハッタン地区連邦破産裁判所に連邦破産法15条の適用を求めた。同法が適用されれば、米国内の資産の強制的な差し押さえなどを回避できる。同時に米国外では再建計画を進めることになる。

2022年3月21日には株式の売買が停止。2023年7月17日には会計帳簿を公開し、2021年と2022年の2年間で赤字は8120億元(約16兆2000億円)を超えたことが明らかにされていた。今回の破綻は時間の問題で、まさにファイナル・カウントダウンに突入していたのである。

恒大集団の破産申請の影響は大きく、他の不動産大手の連鎖的な破綻を招くのは確実な情勢だ。業界最大手の碧桂園(カントリーガーデン)や遠洋集団控股も大きな赤字を抱えており、デフォルトの危機を迎えている。