電化製品などが入っている段ボール箱においては、「持ち手」の切れ目が付けられていることがあるが、その穴はドライバーが開けてはならないという現場も多い。
「あの取っ手には指を入れてはいけないと会社からきつく言われています。よく家電の外装についてますが、うちでは完全にアウトです」(30代地場配送)
「まだ蓋が閉じていて手が入らない状態が正規の製品の状態。荷物が持ちやすいようにある取っ手は、運搬するドライバーのためではなくお客さんのためにあるものですからね」(50代大型ウイング)
結露、ドライバーの汗にもクレーム
また、「傷」ではなく、なかには冷凍食品など運んだ際につく「結露」や、真夏にドライバーがかく「汗」にもクレームがつくことがある。
「夏の暑い時期、荷台の中はもはやサウナ状態です。そんななか数千個もの荷物を積み降ろししていれば、汗が出ないわけがない。それを『段ボール箱に汗つけないで』とか、『荷物に垂れるから汗かかないようにしろ』といってくる荷主がいる」
「冷凍食品は外気温との差から、荷物を出すとどうしても結露が発生するんですが、それに対して『溶けているじゃないか』と荷物の受け取りを拒否されることもあります」
飲料の段ボール箱においては、SDGsの観点から、昨今、箱の面積を小さくした外装箱「ショートフラップ箱」を採用する企業も増えてきているが、こうして荷物の受け取りを拒否し、商品を発荷主のもとに返品させて箱を詰め替えさせては、段ボール箱の面積を小さくした意味がまったくない。
※ショートフラップ箱について:http://www.j-sda.or.jp/environment/search/pages.php?cat=2&id=6
段ボール箱にキズがあるだけでここまでドライバーを翻弄する企業が、各省庁のSDGsの取り組みで表彰されているのだから、もう笑いも起きない。
段ボール傷、へこみを弁償させられるドライバー
この「受け取り拒否による返品」は、実はまだいいほうだ。
なかには返品ではなく、ドライバーに「弁償」させる荷主も存在する。
「某コンビニの配送センターでは、即席めんが入っている段ボール箱の蓋部分の糊付けが片方浮いているだけで破損、荷受け拒否です。社内で事故扱い、無事故手当カットに加え賞与の査定ダウン。数万円の減給です」(50代地場大型)
「医薬品の積み込み時、箱は無傷なのに中身が割れてるかもしれないと18万円の弁済。錠剤があのくらいで割れるようなら普通に走るだけでみんな割れてますよ」(50代大型長距離)
「ティッシュやカップ麺、飲料など運んでた時、角潰れは商品買取でした。『段ボール箱も商品』と言われ、若かったので『段ボール箱も商品ならもう1つ段ボール箱に入れてくれ』って言って一悶着ありました」(50代中距離大型)