「辞められない言い訳」を探しているように見えた

病気の他にも、これまで人員削減に携わってきたものの、直近の時はかなり自分のメンタルにこたえてしまったことがきっかけになった人や、同世代の友人の病気や退職、ご自身の生活の変化(離婚や子離れ等)などが、自分を見つめ直すきっかけになった人たちもいました。

彼・彼女らが、自分の働き方に疑問を感じていても働き続けている理由に共通していたのは、そろそろ自分も潮時だと感じていても、部下や後輩たちがまだ育っていない、今やめて周囲に迷惑をかけたくない等の、辞められない理由をしっかり持っているということでした。

しかし、産業医の目には、退職(転職)する不安を打ち消すほどの、趣味や(次の人生ステージで)やりたいことがないから、辞められない言い訳を探している印象とうつる人たちの方が多かったです。

仕事から帰る途中のぼやけたビジネスパーソンの群衆
写真=iStock.com/AzmanL
※写真はイメージです

「働くことの終わり方」もさまざまだ

ほとんどの方は、何回かの産業医面談を通じて、このような自分の状況を受け入れ、仕事に向かなくなってしまったエネルギーを趣味探しに向けたり、転職先を探し出したり、再度自分がその会社で働く意義を見出したりしようとしています。

最近になり、そのような中で何人かは、新しい趣味を見つけたり、少しプレッシャーや時間的拘束が緩い会社に転職し、定年までの間に生涯の趣味を複数見つける決心をしてきています。

私は、コロナ禍の3年間で、会社により人により、働き方はさまざまだということをたくさん見聞きしてきました。そしてコロナ禍の明けた今、働くことの終わり方も、さまざまだと教えられています。

今年も面談者から、いろいろと学ばせていただくことが多い年でした。

皆様は、自分の仕事の終わり方や定年後の過ごし方について、考えたことはありますか。ぜひ、年末年始に少し考えていただければ幸いです。

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