建設国債で賄うという決断があってしかるべき

【田村】第四条では、例外的に公共施設を造るための建設国債の発行は認めています。

そして佐藤榮作内閣だった1965年に、歳入不足を補うための赤字国債が初めて発行されました。「特例国債」という扱いで、発行を一年限りとするものでした。

しかし、赤字国債の発行は恒常的に繰り返されることになり、現在に至ります。

ともかく財政法第四条の原則は守り通していて、防衛費のための国債発行には財務省が頑強に反対します。

しかも、財政法改正が必要なのですが、野党はもとより与党内部でも、財務省に同調する議員が多いので、現実には不可能なのです。

そうであれば、現行法のもとで工夫するしかない。

安倍さんの経済指南役だった本田悦朗元内閣官房参与によれば、防衛目的の国債を建設国債の範疇に加えるアイデアについても、安倍さんは本田さんと話し合ったようです。

建設国債なら、法改正の必要はありません。財務官僚OBの本田さんならではの名案です。

たしかに、専守防衛の日本の場合、防衛費は自国の安全確保のためであり、国土の保全や国民の安全を確保するためのインフラ整備と目的は同じはずです。

したがって憲法第九条のもとでの防衛費の財源は建設国債で賄うという政治的決断があってもしかるべきです。

日本のカネが中国の軍事費に化けている

国家と国民の安全と安心を図るために、国内の預貯金を国債発行で吸い上げる考え方は理に適っています。

むしろ、中国、ロシア、さらに北朝鮮といった軍事で威喝する権威主義国家を目の前にして、国内の余剰資金を使わないというのは不合理であり、馬鹿げています。

日本は世界最大の債権国であり、あまったカネを輸出しています。そして日本のカネはニューヨーク、ロンドン、香港など国際金融市場に流れ込みます。そのおかげで国際金融市場での調達コストは安くなります。

その最大の恩恵国が中国です。

米国などの国際金融資本や投資ファンドは対中投資をするし、中国の国有企業や金融機関は低コストのドル資金を調達できます。そして国内投資をさかんにし、高い経済成長を実現してきたのです。

その経済力をテコに軍拡を行い、沖縄県尖閣諸島周辺など東シナ海、さらに南シナ海で日本など周辺国を威圧する。台湾侵攻の準備を行う。日本列島すべてを標的にした核ミサイルの基地を配置する。

なのに、防衛目的の国債発行を禁じるのは、日本の自殺行為です。