1万キロ以上を休まず飛べる飛翔能力

パー3のコースを一打で入れることは、ホールインワンと呼ばれる。しかし、ホールインワンは基準より二打、少ないだけである。三打少なくカップインすることは、ホールインワンよりも、はるかに難しいことなのだ。

何より、三打少なくするためには、相当、遠くまでボールを飛ばすことが条件となる。

この奇跡のような出来事には、どのような鳥の名前がつけられているだろうか。二打少ない場合は、小鳥よりもはるかに優れたワシの名がつけられていた。ということは、さらに難しい三打少ない場合は、もっともっと優れた鳥の名前がつけられているはずである。

皆さんなら、どんな鳥の名前をつけるだろうか。

じつは、三打少ない場合は、「アルバトロス」と言う。

驚くことにアルバトロスは、「アホウドリ」という意味である。もっとも難易度の高い優れた成績にアホウドリの名がつけられているのだ。

どうしてワシよりもはるかに優れた鳥としてアホウドリが選ばれたのだろうか。じつは、アホウドリは、飛翔ひしょう能力に優れている。アホウドリは、風を読み、風を利用する能力にけており、大きな翼を広げて、グライダーのように巧みに風に乗る。そして、風の力を利用して遠くまで飛ぶことができるのだ。

この遠くまで飛ぶ能力から、イーグルよりもはるかに難しい成績にアルバトロスの名がつけられているのだ。アホウドリは、一万キロ以上も休まず飛ぶことができるというから、すごい。

アホウドリ
写真=iStock.com/webguzs
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飛ぶことは得意なのだけれど…

しかし、不思議なことがある。

アホウドリはこんなにすごい鳥なのに、どうして「アホウ」と呼ばれているのだろう。

じつは、アホウドリには欠点がある。アホウドリは、高い飛行能力を持っている。そのため、その体も飛行性能を高めるように、洗練されたデザインに進化しているのだ。

ところが、そのせいでアホウドリは飛ぶこと以外は苦手である。何しろ、飛ぶのはいいが、上手に着陸することさえできない。着陸というよりは、地面に墜落するように降りてくる。さらには、地面の上を上手に歩くことができない。

そのため、逃げることもできず、人間たちに簡単につかまってしまう。「アホウ」と呼ばれることになった理由である。アホウドリの見事な滑空を見れば、そんな名前はつけられることはなかっただろう。

人間というものは、その生物の本当のすごさを知ることもなく、ほんの一面だけ見て名前をつけてしまうものなのである。

「アホウ」と名付けた人は、アホウドリのことはまるでわかっていなかったに違いない。

だからね、何と呼ばれようとアホウドリも、そのままでいいんだよ。