世界の主流は「受信料廃止」「国民負担軽減」
世界を見渡すと、ニュージーランド、オーストラリア、フランスは受信料を廃止している。イギリスをはじめとする先進国はこれに続こうとしている。
受信料に当たるものは取っているが、広告を入れることで、受信者の負担を軽減している国はドイツ、イタリア、カナダ、ブラジル、インド、韓国、中国などがあり、むしろこちらの方が主流だ。受信料を最初から取っていない中国も、広告は入れている。
受信料の起源から見て、その基本的考え方から見て、NHKが放送からネットに移るなら、受信料は廃止すべきだ。放送からネットに移ることで放送インフラのコストが大幅に削減できるなら、併せて人員削減を行い、広告などの収入源を新たに得ることによって、適正な規模まで縮小すれば、受信料は廃止できる。実際、世界はこの方向に進んでいる。
しかし、検討会では、広告を入れるというアイディアを口にする委員がいても、それを取り上げて、真剣に検討しようという雰囲気はない。
アメリカは「国民に愛される放送」ができている
まず現状のままの受信料ありきで、広告を入れることで、受信料を廃止するとか、値下げするとかという議論はない。検討会では、ネット配信を必須業務とする議論と受信料の議論はまったく切り離され、前者にゴーサインを出すことだけが求められているように見える。実際、検討会にオブザーバー参加した民放関係者でそのようにコメントする人が多かった。
放送法を作っていたとき、クリントン・ファイスナーというGHQの将校がNHKと通信官僚にこう説いた。
電波は国民のものである。放送事業者は、その公共の電波を使うかわり国民に放送という公共サービスを提供しなければならない。そのためには費用が必要だが、それを受信料という形で国民に負担を求めるのではなく、広告や寄付金や公的補助によってまかなうべきだ。国民に愛される放送を行うなら、アメリカでできているように、日本でもこれはできる。
ファイスナーがこう説いたときに受信料を廃止しておくべきだったが、70年以上の時を経て、今またその機会が訪れている。