世界新聞・ニュース発行者協会(WAN-IFRA)が発行する「イノベーション・リポート2023-24年版」は、「ニュースメディアは、インターネットの普及期に貴重なコンテンツをプロバイダーやアグリゲーターに無料で提供する過ちを犯した」と、世界中の報道機関がデジタル社会の将来像を読み誤っていたと自己批判。IT大手との力関係が逆転してしまった現況で、いったんタダ同然で提供した記事の使用料を大幅にアップすることの難しさを嘆いている。

報道各社は恩讐を超えて団結できるか

もっとも、新聞各社の記事使用料が現行の10倍になったとしても、経営安定への寄与は微々たるものでしかないかもしれない。それでも、加速する新聞離れを、手をこまねいて座視しているわけにはいかないだろう。

ヤフーは早々に報道機関との契約見直しを検討する意向を表明したが、当の新聞各社が長年の恩讐を超えて一致団結できなければ、せっかくの公取委の援護射撃も水泡に帰してしまう。

メディアの地殻変動が予想されるAI時代にこそ、新聞界は結束して対処することが求められる。このまま、IT大手の手のひらの上で踊らされ続けることになるのか、それとも新聞業界独自のニュースプラットフォームのような自律的なビジネスモデルを模索するのか。

民主主義の基盤となるジャーナリズムが揺らぐことがないよう、大胆な発想の転換と精力的な実践を期待したい。

横断歩道を渡る人々
写真=iStock.com/woraput
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