高級マンションの基準は「坪700万円超」

億ションが普通のマンションとするならば、高級、高額マンションとはどの程度の物件と考えればよいのだろうか。

工業市場研究所調査レポートでは販売坪単価で700万円を超えるものを高額マンションとして扱っている。坪700万円ともなると100m2(30坪)で2億円を超えてくる。同研究所によれば、2019年1月から2023年6月までに首都圏で発売された坪単価700万円以上の物件(一部販売予定を含む)は44棟6342戸にも及ぶ。中には、話題となった港区の三田ガーデンヒルズ(総戸数1002戸)のように坪単価が1000万円を超える物件が4件もある。

立地は港区と渋谷区が目立つ。建物階数で20階以上になるタワマンばかりではなく、10階未満の低層マンションも目につく。このクラスのマンションになると、住戸面積も比較的広く、特に坪単価800万円以上の物件になると100m2を超える、ゆったりとしたマンションが多くなる。

渋谷区渋谷で分譲された「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」(128戸)は、1953年に東京都により分譲された日本初の分譲マンション宮益坂ビルディングを旭化成不動産レジデンスが建て替えたものだ。渋谷ヒカリエデッキ直結のこのマンションは2020年7月に竣工したが、1戸4億円から5億円という超高額マンションとして話題になった。

「3億ション」は今後も値上がりする?

また最近では神奈川県横浜市内でも利便性の良い横浜駅前や横浜屈指の高級住宅街である山手町などのマンションは坪700万円台に突入。みなとみらいでも坪500万円を超える水準になっている。

みなとみらいの観覧車が見える景色
写真=iStock.com/voyata
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こうした状況を踏まえると、首都圏の高級マンションの定義はもはや「億ション」ではなく、「2億ション」あるいは「3億ション」と言ってもよいのではないだろうか。そして業界関係者が一様に口をそろえて言うのはこうした超高額物件が実はとてもよく売れているという事実だ。

こんなに超高額マンションが発売され、しかもよく売れているというと、「マンションを買っておきさえすれば、人気が人気を呼んで将来はもっと値上がりするだろう」と考える向きもでてくるだろう。渋谷や広尾などの超高額マンションは無理としても、湾岸エリアや郊外ターミナル駅の駅前などで分譲されるタワマンを少々無理してでも買おうという気持ちになるというものだ。