「ボージョレヌーボー的ほめ言葉」
「子育てのポイントは何ですか?」という質問に、ミッション系の学校では、「マリアさまがイエスを育てたのと同じように、子どもを育てること」と答えます。
聖母マリアは、イエスを神の授かりものとして身ごもり、育てたのであって、決して自分の子どもとして扱わなかっただろうと想像するからです。子育てでは、このように子どもを他者として認識することが大切です。そうすれば、「子どものためを思って」という一方的な押しつけは行われないですし、「この子はどんな子?」という自然な関心がわいて、じっくり観察して子どものいいところを見つけられるはずです。
私のおすすめの「ボージョレヌーボー的ほめ言葉」を紹介します。
・幼稚園・保育園のとき=いまだかつてない愛嬌のよさ
・小学生のとき=かわいさと賢さが際立つ出来のよさ
・受験前=今世紀最高のがんばり屋
「正解主義」ではなく「修正主義」で向き合う
「がんばれと言ったのも、がんばらなくていいよと言ったのもあなたでした」
これは、中学受験を見事に表した言葉です。
保護者のみなさんは、がんばって成功してほしいという気持ちと、こんなに大変ならやめさせたほうがよいのでは、という気持ちの葛藤の中で日々を過ごしているのではないでしょうか。
「がんばってほしい」も、「がんばらなくていい」も、どちらもその状況においては正解です。この本の中にも、いろいろな事例が登場するため、ときには内容が矛盾していると思われるかもしれません。しかしそれは、絶対的に正しい方法論などはなく、むしろ葛藤の中にこそ正解があることの表れともいえます。
本稿では「子どもをプラス思考でとらえる」というスタンスで筆を進めていますが、ほめてばかりでは成功しないかもしれないし、ほめることにより油断して失敗することだって、ないとは限りません。
逆に、叱ったほうが成功するかもしれませんし、叱ることでモチベーションをなくして失敗することも当然あるでしょう。自分の子どもがどちらのタイプに近いか、今はどちらの手法を選んだほうがいいか、と常に探るスタンスでいることが大切です。
それには、ほめてみたり、ときには叱ってみたりして、子どもの反応を観察し、また結果を分析してみてください。子どもは千差万別ですし、時期によって、受け止め方も変わってきます。
まとめると、「正解主義」ではなく「修正主義」でいくことです。そのためにも、子どもとは密にコミュニケーションをとることをおすすめします。